昭和57年　四六判　P237　函ヤケ、時代シミ多、濡れシミ　本体表紙および小口少時代シミ　見返しに著者毛筆識語署名落款

毎日新聞全国版に連載されたコラムのうち、第1回から210回分（昭和56年7月1日〜57年1月31日）を収録。
古今東西の書物から一節を引き、短い鑑賞を付す。

“ある日、ふと心の中に蘇って来る言葉がある。日本の詩歌、西欧の劇、アメリカの小説、聖句、経文等、かつて何気なく読み過していた一行が、一句が、思いがけぬ鮮やかさで、新しい響きを伴って浮び上って来る。
　あたかもその時、人は積り重なった不満が昂じて、爆発寸前のこともあろう。また、不安にふるえつつ、新しい世界に賭けて、孤独な出発をするまぎわかも知れない。あるいは、幸福という沼に溺れて、この世のすべてに飽き飽きしている場合もあり得る。百人百様、人は生の出発点から終点までの、どこかに立って、何かを待ち、何かを探している。”（本書巻頭文「明日への花」より）

引用元（抄・第1〜10回）：
高浜虚子「虹」／リルケ『マルテの手記』大山定一訳／堀辰雄『ルウベンスの偽画』／「論語・先進篇」／森林太郎「我百首」／チェスタートン『木曜の男』吉田健一訳／夏目漱石『草枕』／『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』杉浦明平訳／世阿弥「風姿花伝」／宮沢賢治『ビジテリアン大祭』／

・・・ほか