2001年 A5判 P212 帯およびカバー背ヤケ カバー上端イタミ、袖折れ跡 見返しに著者献呈署名入り
“鮮やかに描き出されたアジアの幻想と現実
カラー図版154点・モノクロ図版21点”(帯文)
“…本書はでは、そのなかでも、18-19世紀に、アジアとりわけ中国の南部・珠江デルタ地域と呼ばれるマカオ、広東(今日の広州)、香港、さらには旧海峡植民地のマラッカ、ペナン、シンガポールなどの地域で描かれた異文化接触、または文化摩擦を視覚化した作品に着目する。「歴史画」を分析してゆくことにより、そこに描かれた18-19世紀の中国の姿はもとより、ヨーロッパの中国へ向けた眼差しがいかなるものであったかを垣間見ることができるだろう。”(本書「はじめに」より)
目次:
はじめに
{歴史画の価値/歴史画の区分/作品の解釈/本書の章立て}
第1章 記録画の由来
{記録画の歴史―18世紀以前/イギリス学士院の規範/軍事組織とスケッチ画/ジェームズ・クックの調査団と記録画/記録画の種類/植物画/肖像画・人物画/風景画/旅行記の記述と挿絵との齟齬/歴史画が抱える問題}
第2章 ウィリアム・アレグザンダーの見た中国
{神秘的な中国:キャセイ/使節団に関係する出版物/中国のイメージを一変したアレグザンダー/イギリスにおける評価/アレグザンダーの悔い/アレグザンダーの肖像画/原画と版画の違い/コーチシナの行政官/アレグザンダーの風景画/蘇州の風景画/「中国人墓地から見る西湖湖畔の雷風塔」/アレグザンダーが見た中国建築/アレグザンダーのライバル/『中国風俗誌』/画家の区分}
第3章 広東(広州) 中国人画家たちの創作活動
{中国貿易と絵画/広東の外国商館/代表的な作品/歴史画に見る広東の陸標/中国人画家たちの創作活動/外国商館内を彩った絵画/1枚の肖像画にまつわるエピソード/5枚の肖像画/外国商人の生活/ジョージ・ワシントンと中国人画家}
第4章 黄《土+甫》・虎門―パターン化された表現
{中国的なマニエリスム/中国的なイメージ、黄《土+甫》の停泊地/海面からの黄《土+甫》/造船所のイメージ/ハッギンスと海洋画/虎門の砲台/作品に見る虎門}
第5章 マカオ―ジョージ・チネリーと欧米人画家たち
{風景画のアングル/マカオで活活躍した欧米人画家たち/ジョージ・チネリーと肖像画/「ホウクワー」と「モウクワー」}
第6章 香港―風景画に見る時代の流れ
{香港を描いた作品の特色/香港の由来をスケッチ画に見る/マードック・ブルースの香港/香港の風景画に見る企業史/香港ノスタルジー/香港に集中するコレクション}
第7章 中国内陸部およびその他の地域
{その他の貿易港および中国内陸部/忘れられたモチーフ/東南アジアの光景}
第8章 セットになった作品
{大パノラマ(連続画) /生産過程を描く/お茶の生産/磁器の生産過程/プウクワーの『中国風俗誌』}
あとがき
注
参考文献
Acknowledgement