1991年 文庫判 P491 カバー内側少時代シミ 小口少ヤケ、天少時代シミ 本体裏見返し記名消し跡
“マヌの法典はたんなる法律の書ではない。人類の始祖マヌによって伝えられたといわれ紀元前後に編纂されたこの書は、まず宇宙万物の生成から語り起して日々の世俗的宗教的な行動規定を含む「本来的で正しい生き方」(ダルマ)を指し示し、さらに輪廻転生に説き及ぶ、壮大な規範の書である。今なお複雑な身分制度を堅持しているヒンドゥー世界の価値観を律する思想書のサンスクリット原典からの全訳。”(カバー裏紹介文)
目次:
【第一章(序章)】
世界の創造
序
世界の始まりとブラフマンの誕生
ブラフマンによる世界創造 {創造の準備 創造}
マヌによる世界創造 {マヌの誕生/十人の創造主による世界/創造/生類の誕生の順序}
世界の生成消滅
ブラフマンの目覚めと眠り
マヌの世紀 {七人のマヌ/人間の時間/祖霊の時間/神々の時間/ユガ}
ブラフマンの目覚めと世界の生成 {ブラフマンの一日/ブラフマンの目覚め=世界の生成}
世界の維持
ユガの特相
四身分のそれぞれに特有の使命が配分される
ブラーフマナの使命
マヌの教えの編纂の目的伝達功徳
良俗アーチャーラの礼讃
マヌの教えの内容一覧
【第二章】
正しい生き方(ダルマ)源
行為の源
ダルマの四種の源動
ダルマの地
幼児期
両親から受け継ぐ罪の清め {一連の儀式の意義/誕生式/命名式/外出式・お食い初め式/結髪式}
学生の生き方
入門式 {時期/ヴラーティヤ/学生の装具/乞食/食事作法/水を啜る清め/祭儀紐装具の取替え/髭剃式/女子にとっての清めの儀式}
修業 {基本的な日々の義務/ヴェーダ学習/オーム、ヴィヤーフリティ、サーヴィトリー/低唱からなる供犠/感官の制御/サンディヤーの礼拝/ヴェーダの詠唱停止/ヴェーダを教授されるに相応しい人間/敬うに値する人間と彼らに対する敬い/師/長幼の序の基準/ヴェーダ学習/生活規定ニヤマ/終身学生を志す者}
【第三章】
家長の生き方 ―ブラーフマナ
序
結婚 {配偶者の選択/配偶者と身分/八種の結婚式/出産に関する事/売買婚非難}
妻に対する敬い・家の繁栄
五大供犠 {五大供犠とその意義/リシに対する供犠/祖霊に対する供犠/神々に対する供儀/生き物に対する供儀/人間に対する供犠/家長の食事/マドゥパルカ/妻によるヴァイシュヴァデーヴァ}
祖霊祭 {ピンダ・アンヴァーハーリヤカ祖霊祭/招待者の人数/招かれる人間/祖霊祭から排除されるべき人間/不適格者をもてなすことの結果/共食仲間を清めるブラーフマナ/祖霊祭の式順/祖霊の祖先/祖霊祭の式順(続き)/供物の効果/祖霊祭を行なう適時/その他}
【第四章】
家長の生き方(続き)
生計手段
生活の蓄え
スナータカとしての生き方 {諸規定/供儀の実行/もてなし/諸規定/妻に関しての注意事項/排泄/火に関する注意事項/諸規定贈物に関する注意事項/ヴェーダ学習/ヴェーダの詠唱停止/諸規定/ブラーフマナに対して危害を加えないこと/不正な生き方の報い/口論の回避/贈物に関する注意/諸規定/食べ物を受けてはならない人間/物と果報/功徳を積み上げること/施物の受け取り/結語}
【第五章】
家長の生き方(続き)
食べ物に関する規則 {序/禁止される飲食物/肉食}
死・誕生によって引き起こされる汚れと清め
清めの手段一般
器物の清め
常に清浄なもの
身体の清め
女の生き方
【第六章】
老後の生き方
林住者の生き方 {出立/祭式の実行/食生活/苦行/林住者の成就}
遍歴者の生き方 {出立/遍歴者の生活/瞑想}
ヴェーダにすべての行為を委託する生き方
【第七章】
王の生き方
王の創造と神聖性
刑罰の創造 {刑罰の創造/刑罰の正しい適用}
王の生き方 {謙譲/学問の修得/感官の制御/側役および大臣の任命と業務についての諮問/使節の任命/都城の建設/結婚/祭式の実行/各部署の監督官の任命/ブラーフマナへの贈物/戦闘/征服/領国の統治/政策、特に外交政策についての顧問官との協議/協議後の一日の行動}
【第八章】
王の生き方(続)
訴訟の審理 {訴訟に臨む王の心得/訴訟の十八主題一覧/裁判官/審理の開始/未成年者・女の財産の保護/遺失物の保管/隠匿/埋蔵物/盗難物の取戻し/事件審理の意義/訴訟の提起/審理の基本原則}
訴訟の十八主題
(一)負債の不払い/(二)寄託/(三)所有主でない者による売却/(四)共同作業/(五)贈与物の不讓渡/(六)賃金不払い/(七)協約不履行/(八)売買の解除/(九)家畜所有主と牧夫の紛争/(十)境界紛争/(十一)言葉による暴力/(十二)暴行/(十三)窃盗/(十四)凶惠犯罪/(十五)姦淫
【第九章】
訴訟の十八主題(続き)
(十六)夫婦の生き方/(十七)財産分配/(十八)賭博
刑罰
他地方の征服と国内の治安
王国の七要素
王は毅然として事に臨むこと
ブラーフマナを害してはならないこと
王の生き方(結語)
ヴァイシャの生き方
シュードラの生き方
【第十章】
雑種身分の生き方(生業)
四身分
雑種身分
雑種身分と生業
排除されるべき人間たちの識別
排除されるべき人間にとっての成就
身分の上昇・下降
アーリヤと非アーリヤの混血による子供
窮迫時の生き方
三身分の正しい生き方
四身分の窮迫時の生き方
【第十一章】
窮迫時の生き方(統き)
困窮するブラーフマナへの贈物
窮迫時における供犠の遂行 {無理な供犠の戒め/供儀の遂行のために許される富の奪取/困窮するブラーフマナを保護する王の義務/窮迫時においても回避すべきこと}
自力救済
供儀に関する禁止事項
贖罪
いかなる場合に贖罪は適用されるか
贖罪の意義
罪の分類 {大罪/準大罪/身分を喪失させる罪/雑種身分に堕させる罪/贈物に不適にする罪/汚れをもたらす罪}
贈罪(一)(公にされた罪の贖罪) {四大罪/準大罪の贖罪/身分を喪失させる罪の贖罪/雑種身分に堕させる罪・贈物に不適にする罪・不浄にする罪の贖罪/ブラーフマナによる下位身分殺しの贖罪/動植物を害するときの贖罪/禁食を犯すときの贖罪/窃盗の罪の贖罪/禁止される女と交わる罪の贖罪/パティタと交際する罪の贖罪/その他の罪に対する贖罪/贖罪が特定がされていない場合/クリッチュラ/チャーンドラーヤナ/贖罪を目的として誓戒を行なうときの規則/罪の告白/悔悟/苦行/ヴェーダの詠唱}
演罪(二)(公にならない罪に対する贖罪)
【第十二章(終章)】
行為の帰結
言葉・心・身体による行為とその結果の享受
行為させる主体・行為する主体・輪廻する主体
三グナ(存在の様態の決定因)
グナによって特徴づけられる存在の様態
グナによって特徴づけられる輪廻の帰着点
罪深い人間の輪廻・転生
至福をもたらす行為
ヴェーダに規定される行為
アートマンを知ること
ヴェーダの復唱
その他
正しい生き方(ダルマ)の確定
シシュタの教示
パリシャッド
マヌの教えの秘義
マヌの教えの修得によって得られる果報
訳注
解題(渡瀬信之)