昭和55年初版　四六判　P270　帯スレ、キズ　カバー僅イタミ、背少ヤケ　小口少ヤケ　末尾ページ端少濡れシミ　裏遊び紙少汚れ

“人類が純血を保つため、ミュータントどもを絶滅せよ！　幻のＳＦ作家ヒトラーの傑作『鉤十字の帝王』の全容を収録！”（帯文）

“どろどろのあぜ道をはさむように建ち並ぶ粗末で不潔な小屋。商店では腐りかけた野菜や肉が店頭を飾っている。そこに涎を垂らし、汚物をまき散らしながら群れつどう悪臭ふんぷんたるミュータント。街路では、青膚人、蜥蜴人、卵頭人等の交雑種がいるところに放尿しながら、徘徊している。―この肥溜めさながらの化け物の巣窟こそ、核戦争後の地球の姿であった！　かろうじて生き残った人間は奇跡的に汚染されずにすんだ領土をヘルドン大共和国と称し、自らの血統的純粋さを保っていた。だが、今では次第にミュータントの思考支配の罠に陥り、地球が完全なる汚物の掃溜めと化すのも時間の問題だった。だが、純人間のあいだに一種の信仰にまで高められているひとつの伝説があった―いつの日か、核戦争以前の秘術を用いて魔術師たちが鋳造した〈大指揮杖〉を揮い、ミュータントをこの世から一掃する一人の英雄が現われるというのだ。そして今、ミュータントの〈優勢種〉が猛威をふるいはじめたまさにそのとき、伝説が成就するかのように一人の男がヘルドン大共和国に現われた！
ミュータントと純人間との血みどろの死闘を一種の“暴力の美学”にまで高め、1954年ヒューゴー賞を受賞した、ヒトラー最後のヒロイック・ファンタジイ！
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架空のマイナーＳＦ作家アドルフ・ヒトラーの作品『鉤十字の帝王』を異才スピンラッドが、めくるめく構成で紹介する1974年度アポロ賞受賞作！”（カバー袖紹介文）