1971年 四六判 ソフトカバー P272 カバー・小口ヤケ、汚れ ビニールカバー端少破れ
築地小劇場の活動に立ち上げ当初から参加してきた舞台装置家・吉田謙吉の回想記。
演劇の世界に足を踏み入れた学生時代に始まり、土方与志をはじめとする人々との交わり、築地小劇場の開設、手がけてきた作品の思い出、検閲とそれに対する抵抗、劇団の分裂・解散まで、折々の出来事を綴る。
目次:
幕あき前に
残像
築地小劇場以前
{踏路社に参加して/創作劇場ではじめて土方与志に会う/新劇への道程/はじめて新劇を観る/舞台背景を描く}
小石川林町
{土方家のロココ風の家具/築地小劇場の発祥地/階段の手すりの感触 たいへんということば/はげしい稽古 与っちゃん 名詞代り/ぶどうのマーク 舞台装置のプラン}
隣りの空地
{築地小劇場の建設/右隣りの空地/金色の幕を塗る}
開場間際のうちそと
{鼠色一色の建物/築地小劇場の舞台裏/演出者のむりをとおす/日本で最初のホリゾントとプロンプター・ボックス/舞台裏で働いた人たち 大道具の次郎さん/衣裳部の活躍 築地帽のこと/劇団員のおしゃれ}
第一回公演「海鮮」
{ドラの余韻 テンポのはやいセリフ/表現派風の舞台}
レパートリーを追って
{「人造人間」の大扉の仕掛け/日比谷公園での「狼」と植木鉢/「死せる生」の舞台をペンキで 演技と舞台装置/「瓦斯」での大音響効果/村山知義の初仕事「朝から夜中まで」の構成舞台/劇場の三科/元旦初日に追われて/小山内薫との会話}
検閲受難と抵抗 小山内薫の死
{「決定」の上演禁止/治安維持法の発布 「牧場の花嫁」の改変舞台/「虫の生活」の擦り鉢形の基礎舞台/伊藤熹朔様式的舞台装置で腕をふるう/演技を重点的に活かしたイプセン劇「幽霊」の舞台/丸太組み舞台創出とその活用/「ベニスの商人」の舞台 荒縄を楽屋風呂につける/「夜」の三色旗の仕掛け/赤色禁止に抵抗して/「平行」「相恋記」の照明の苦心/エピソードが多い「真夏の夜の夢」/原作どおりの「ペエル・ギュント」/初演出「心の劇場」/大スペクタクル公演「国性爺合戦」/劇団経営の傾斜 レーニンの肖像/クリスマスの夜の訃報/小山内薫逝去}
分裂 ―新築地劇団の発足
{「夜の宿」を機に分裂の兆し/新築地劇団結成の情報/旗あげ公演「生ける人形」「飛ぶ唄」/小林多喜二に会って「蟹工船」を取材/新築地劇団の解散まで/東京駅頭の歌声}
戦後小感
カーテン・コール