1991年　四六判　P366　帯付　カバー汚れ　天汚れ　見返し上角僅剥がし跡　巻頭図版ページ端時代シミ　P219上端に３センチ程度の破れ補修跡

“「昭和遊女考」「鬼追い」に続く廓むかし語り第三作
売春廃止から三十数年　いまもなお廓世界の重荷を背負いひっそりと生きる昔遊女たち　閉ざされた重い口が徐々に開かれ闇の世界が紡ぎ出される”（帯文）

元遊女たちの語るエピソードや廓の俗謡・俚諺などを聞き書きする。

目次：
【I　廓極楽娑婆地獄】
赤線廃止　｛一割五分／女郎のくせに／ヤソのお経｝
アメリカさんとお商売　｛つらかこと／プリチ・レジィ｝
鬼は外　｛高野詣で／女郎と腰巻／ほおずきの実は赤いよ／引導（聞いて震えた―）／引導を言いあとで思うこと｝
おこんさ詣り　｛おこんさ語り／悪し言／小意地が浜／てまりとたまき／うつる、うつらん／素足／みえ／罪やねん／いまだ心は―／恋やろかなあ／悟り／あんじょう｝
稲刈りグミとヒヨッ子　｛稲刈りグミとヒヨッ子／みやこ忘れ／野良猫だって／船で／神さま　それぞれ｝
私のむかしは　｛願いごとは／苦爪楽髮／それしかない草やもの／走るように／昔遊女ツガの身の上語り／おん身渡り／私のむかしは―／羨む幸せ　くらべる不幸せ／わたしを生んで下さって／キヤのむかし／借金ちっと残して／俗名でいいんだヨ／桜の花びらが重い／廓ザッパ／シマツせにゃあ｝
赤前垂のむかし　｛するめのこと／赤前垂のむかし　あか漬け／リリやん／いまはむかし　廓女将の語り／実地訓練／胸の隅っこが｝
客いろいろ　｛いうちゃったサ／ツメコ腹ぁすいてないかぁ／客いろいろ／土地は―／廓極楽娑婆地獄／地獄から引きずり出して｝
廓そとのはなし　｛いいねえ｝

【II　もうたくさんや】
宝物　｛あっ姉ちゃんだぁ／捨てた在所に／お辰の旅立ち／因縁／疑ぅたりして／ホントにあるがやろか／おんしも弟が／宝もの／やがて皆弥陀のふところに／娑婆びとのうた／語りあかしたい｝
今年もぎっちょん飼いますの　｛花びら／シャッポー／赤飯／今年もギッチョン飼いますの／老いて死に至る／出が違う／もう沢山やぁ／ゴエンキヨさん／スッカタギ／行きずりの男の一言／娑婆びとにや分からんがヨ｝
ながされ闇の　｛切手少々／化けちゃろかァ／登さんへのお返事｝

【III　廓言】
廓言　｛廓言（格言）／不思議／花になりたや／あんたさま／廓そと伊藤一路氏よりの句／われからに／伊藤氏に刺激され詠みはじめた句｝
オハラダンブツ（陀仏）／忌んの糞／口上のうた

【IV　ピッピ笛】
みっちゃんがあいに来た　｛みっちゃんがあいにきた／スマトラ／目ぐり合わせ／川で死んだツネちゃん／狸屋敷／格ちゃんとオルガン／ワニの子／お猿のチャンチャンコ／なぜかしら／狸汁食った／てんてき／輪になって踊る／メイド／うちは餅屋／私は｝
おともだち　｛ピッピ笛／塩鮭／かけ合い遠征／おともだち／メンボロン／マーチャカンショ／泣きかんしょ／アーラソイ／炭すごかんしょ／ダンベツ／三勇士／三勇士の暮らし｝
子供のころ　｛子供のころ／なまえ／アリャフカ／ござりまするゥ／空想と現実／聞きかじり／オールドブラック／トンハエ／ふたご｝

【V　縁あって】
縁あって　｛崖の上／小さな存在／イルマイルマイルマンマ／ヨロコビタイ／一円二十銭／メッ／母の好きな色／への字のヒゲ／地獄／ダッソへ／兎追いし／毎年こうして／身に備ったもの／書けぬものは書けぬ／ホントは良いひと／見ると聞くとでは／天台宗万日堂／縁あって｝
いま―　｛ことばの子守うた／こころの中のはなし／みんな帰る／たった一つのおはなし／先祖から｝
罪業消滅の碑　｛地蔵だいら／亡者夫婦／師のみ教え｝

あとがき