1998年 新書判 P213 カバー背僅ヤケ
“目隠しされた女性像、黒い聖母、悪魔、葉人間―大聖堂の奇怪な図像はなぜ生まれたか。もう一つのキリスト教美術を鮮やかに解読する。”(カバー紹介文)
目次:
序―図像学(イコノグラフィ)とは
1 悪魔の出現とその形態
{ロマネスク聖堂に表現された「悪徳」に付き添う悪魔/悪魔の登場する場面とその役割/悪魔表現の出現/『黙示録注釈書ベアトゥス本』にみられる悪魔/ロマネスク美術に現われた悪魔/悪魔崇拝と宗教との関係}
2 ロマネスク美術と『黙示録』
{ポワティエ市サンティレール聖堂の謎の柱頭彫刻/サン・スヴェールのベアトゥス写本/《ベアトゥス本》写本とは/サン・スヴェールのベアトゥス本の特徴/モサラベ美術とは/『黙示録』的時代背景}
3 右と左の序列―左は悪い方向
{コンク、サント・フォア聖堂への道/《最後の審判》図像の出現/右と左の位階の問題/中世における視点(内なる視点)と逆遠近法の問題/神の視点の存在}
4 謎の黒い聖母像
{ロカマドールの謎の聖母像/黒い聖母の存在する場所/巨石崇拝に結びついた土地(ル・ピュイ)/シャルトル大聖堂の場合(聖水崇拝)/《黒い聖母》の象徴的意味/《黒い聖母》像のタイプと聖母崇拝}
5 『旧約聖書』伝壁画のなかの横顔像
{サン・サヴァン聖堂壁画(『旧約聖書』伝)/東側祭室や西側玄関口壁画との関係/サン・サヴァン身廊天井壁画の特殊性(横顔像の存在)/主要場面における横顔像とその意味/第二の横顔像のタイプ/結論}
6 目隠しされた女性像―シナゴーガ表現
{ストラスブール大聖堂の目隠しされた女性像/サン・ドニ修道院長シュジェールの創意/予型論(タイポロジー)的解釈とその表現/シナゴーガ(ユダヤ教会)の表現/《シナゴーガ》表現の背後にあるもの}
7 「葉人間」の正体
{サン・ブノワ・ロワール修道院/謎の柱頭彫刻/グリーン・マン(葉人間)の存在/「葉人間」の正体(樹木信仰)/ケルト文明の伝統の融合/古代ローマ文明の融合/「葉人間」の意味と人頭崇拝の伝統}
8 怪物ガルグイユの象徴的意味
{パリ大聖堂の怪物群とガルグイユ/ガルグイユの起源/雨樋の歴史とガルグイユの登場/ガルグイユの歴史とその類型/ガルグイユの象徴的意味}
9 一角獣のタピスリーの意味
{パリ、クリュニー美術館《一角獣を伴う貴婦人》タピスリー/表現されている主題(五感覚)/一角獣とライオンの象徴性とその意味/新しい解釈/四本の樹の意味と天幕の前に立つ貴婦人の意味/紋章の意味と制作の背景}
あとがき
注