2007年初版　Ａ５判　P192　カバー僅スレ

16世紀にインカ王国を征服したスペイン人により、アンデス先住民の信仰・儀礼・神話などが「偶像崇拝」「魔術」「悪魔崇拝」として弾圧された、その過程と構造について論じる。

目次：
まえがき
　｛1　他者理解と植民地主義の問題／2　最初の接触｝

第１章　「名」と「像」の葛藤―「偶像崇拝」の問題をめぐって
　｛1　エリアーデの「ヒエロファニー」における「聖と俗の弁証法」／2　リクールにおける「顕現」の宗教と「宣言」の宗教／3　「偶像崇拝」と「ヒエロファニー」―エリアーデの理解―／4　「偶像崇拝」と「顕現」の宗教―リクールの場合―／5　上田閑照による「経験と言葉（自覚）」の３つのモデル／6　ヒエロファニーとしての「偶像崇拝」―宗教学者の立場―｝

第２章　ペルーにおける「偶像崇拝・魔術」撲滅巡察の歴史
　｛1　初期の改宗計画／2　タキ・オンコイと最初の巡察／3　副王トレドとリマ異端審問／4　リマ大司教区教会会議とイエズス会の活動／5　アビラによる偶像崇拝撲滅巡察の開始／6　リマ大司教区と偶像崇拝撲滅巡察の体制化｝

第３章　「魔術師」ファン・バスケス
　｛1　「エリートの宗教」と「民衆の宗教」／2　「インディオ、ファン・バスケスに対する魔術師ゆえの罪」／3　スペインの悪魔学／4　バスケスの治療の先住民的ルーツ／5　「魔術師」ファン・バスケス／6　正統主義が孕む問題／7　宗教の混淆化／小結｝

第４章　カトリック・ミッションとアンデス先住民宗教における祖型と反復
　｛1　ユダヤ・キリスト教の伝統における祖型と反復／2　祖型としてのグレゴリオ１世／3　集村化のモデル／4　集村化／5　アンデス先住民の聖なるトポス／6　天空神／7　大地と石／8　灌漑水路と畑｝

第５章　「世界は逆転している」
　｛1　魂の救済＝植民地化は等価交換か？／2　個々人のモラル・ハザード／3　先住民の道徳的堕落について　（1）コカの使用　（2）飲酒と偶像崇拝　（3）姦通　（4）国家と教会への反逆／4　先住民側の反応／小結｝

第６章　我々の祖先は悪魔なのか？
　｛1　祖先神と創造神話／2　豊穣の泉としての祖先／3　アンデスの神話において語られる祖先＝悪魔／4　レイミー族の死者儀礼／小結｝

第７章　鉱山の悪魔
　｛1　「鉱山の悪魔」研究とその批判／2　山の神ティオ／3　仲介者／4　ティオの悪魔化／5　民衆の悪魔―価値の転倒｝

第８章　ピシュタコ―コロニアリズム批判の象徴としての悪魔―
　｛1　「ピシュタコ」前史／2　神話的イメージとしての「ピシュタコ」／3　供犠の象徴的意味／4　脂肪とり魔／5　異人、すなわちコスモスを破壊する者／6　問われる研究者の位置づけ／小結｝

結び
あとがき

引用文献
参考文献
年表
初出一覧
索引