1986〜89年全初版 A５判 月報揃（ただし第8巻にはもともと月報付属せず） 帯・元パラ付（ただし第10巻帯破れ断裂 そのほか巻によりイタミあり）
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“幻想文学の世界に燦然と屹立する中井英夫の作品群
テーマ別に構成して多彩な文学世界を再現
著者自身の厳しい選択と校定を経た自選作品を収める決定版”（帯文）
【I巻：流刑】1986年 P421 帯・函僅キズ
“ここは相も変らぬ“地球という名の流刑地”なのだから―”（帯文）
目次：
オーストラリア幻想旅行 ｛黒鳥譚〈小説〉／黒鳥の囁き〈小説〉／黒鳥の旅／幻想庭園／出口と入口について―言語空間の祭典／陰画の旅｝
流刑された作家たち ｛ケンタウロスの嘆き／終りなき宴―『三島由紀夫全集』刊行に寄せて／見てしまった魂の不幸―『三島由紀夫十代作品集』／肉体の配信―三島由紀夫私記／二度目の遺書―三島由紀夫『小説とは何か』／禿鷹／見えない遺書―川端康成／血紅の美酒―泉鏡花に寄せて／美の洪水―泉鏡花／美への愛憎―『黒蜥蜴』／香り高い闇―『一寸法師』／孤独すぎる怪人―新・江戸川乱歩論／乱歩変幻／銀と金―乱歩と正史｝
異端と幻想の文学 ｛日本の異色作家／久生十蘭論／戦争と久生十蘭／王の孤独―久生十蘭／異次元の作家たち―小栗・夢野・久生／地球への流刑者―小栗虫太郎『二十世紀鉄仮面』『人外魔境』／異端の復権―久生・夢野・橘／悪夢の固まり―『夢野久作全集』／狂気のあかし―『ドグラ・マグラ』頌／『瓶詰の地獄』解説―夢野久作｝
彼方より ｛ふるさと・わが流刑地／彼方より〈戦中日記〉｝
第一巻 自作解説
初出・初収一覧
月報：虚無に乾杯！（出口裕弘）／流薔園縁起（渡辺啓助）
【II巻：幻視】1987年 P397 本体元パラ端破れ多、一部欠損
“この薔薇たちは、いわばここへ流刑になったようなものですから―”（帯文）
目次：
薔薇幻視 ｛地下の薔薇園への招待／青の神秘について／薔薇ならぬ薔薇の旅�機愁僖蝓Ε僖�テル／薔薇ならぬ薔薇の旅�供獣話羈い悄疹�説・薔薇の罠／あとがき 薔薇への詫びごと｝
小説とエッセイ ｛火星植物園／薔薇の夜を旅するとき／薔薇の獄―もしくは鳥の匂いのする少年／薔薇の縛め／薔薇の戒め／被衣〈かつぎ〉／呼び名／重い薔薇／薔薇への遺言／薔薇が、薔薇で……／薔薇の旅 ただし過去への｝
香りへの旅 ｛香りの渓間への招待／香りへの旅�機深困錣譴森瓩魑瓩瓩董森瓩悗領広供身�しい滅びの芸術／香水詩集／香りと文字と／香りの植物園／小説・低地の邑への旅／あとがき 花火闇の中で｝
小説とエッセイ ｛香りの言葉／白銀の暗殺者―香りの源泉について／香水に寄せる１１の脚韻詩の試み／地下を旅して／色彩・その毒について／炎色反応／第五太陽忌／炎と記憶／兄とレコードと友人たち／掠れた唄たちへの頌／シャンソン二題｝
第二巻 自作解説
初出・初収一覧
月報：フィレンツェの少年（司修）／透明な領土（直江博史）
【III巻：変身】1986年 P366 帯背折れ跡 本体元パラ少イタミ
“それとも地上でも大半の人間が人形といれ変ってしまったのか”（帯文）
目次：
麤皮／幻戯／銃器店へ／翼のあるサンダル―あるいは蟾蜍の記／影の狩人／死者の誘い／星の砕片／鏡のなかへの旅／空き瓶ブルース／藍いろの夜／青髭公の城
人形たちの夜（抄） ｛笑う座敷ぼっこ／三途川を渡って／影人（えいじん）／憎悪の美酒／歪む木偶／貴腐（プリチュール・ノーブル）
第三巻 自作解説
初出・初収一覧
月報：同世界の中の別世界（山田風太郎）／大正十一年生れ（瀬戸内晴美）／電報為替（塔晶夫）
【IV巻：狂気】1988年 P416 帯少イタミ 本体元パラ端少破れ
“その美の一撃が、久しく眠っていた暗い魂を激しく揺り起こした―とらんぷ譚”（帯文）
目次：
幻想博物館 ｛聖父子／大望ある乗客／影の舞踏会／黒闇天女／地下街／チッペンデールの寝台 もしくはロココふうな友情について／セザーレの悪夢／甦るオルフェウス／公園にて／牧神の春／邪眼｝
悪夢の骨牌 ｛水仙の眠り／アケロンの流れの涯てに／暖い墓／大星蝕の夜／ヨカナーンの夜／緑の唇／緑の時間／緑の訪問者／廃屋を訪ねて／戦後よ、眠れ／闇の彼方へ｝
人外境通信 ｛笑う椅子／鏡に棲む男／扉の彼方には／青猫の惑わし／夜への誘い／美味追真｝
真珠母の匣 ｛恋するグライアイ／死者からの音信／海の雫／幻影の囚人／ピノキオの鼻／優しい嘘／青い贈り物／絶滅鳥の宴／あとがき｝
第四巻 自作解説
初出・初収一覧
月報：三次元の迷宮設計者（紀田順一郎）／オカルト麻雀（五十嵐清）
【V巻：迷宮】1986年 P383 帯僅スレ
“文字そのものに、実はうっすらの毒が盛ってあるのかも知れない―”（帯文）
目次：
夜翔ぶ女／ふつうの会話―家具に寄せる短編／卵の王子たち―世界一小さな密室／安楽死志願／三つの手紙／真珠姫／天蓋／名なしの森／変身譜／干からびた犯罪／盲目の薔薇／あるふぁべてぃく／男色家の朝の歌／夕映少年／月光の箱／影を売る店／影法師連盟／古代旅行者／日蝕の子ら／黒塚／星の不在
幻談・千夜一夜 ｛1 口上と物語の始まり／2 シェーラザードの登場／3 ハサンの船出／4 シャーリヤルの微笑／5 青い実の憂愁／6 麝香の夜／7 豹と王子／8 魔女神と艶夢／9 間奏曲／10 艶書と旅立ち／11 シェーラザードの退場／12 旅の終りと納めの詞｝
第五巻 自作解説
初出・初収一覧
月報：Annus Mirabilis―一九二二年へのオマージュ（佐伯彰一）／甘酒進上（塚本邦雄）
【VI巻：鏡と影】1986年 P371 帯少スレ 函少凹み 本体元パラ端少破れ
“そこに映る人影は手触れることの出来ない“遠街”のもので―”（帯文）
目次：
白鳥盗人／日本人の貌―非国民の思想／暗い宴―わが体験／アリス狩り／国民服の菊五郎／文字・色・音―出会い／牡蠣の殻なる牡蠣の身の……／古い時計―映画の時間・観客の時間／誰が鞭を持ち始めたのか―ナチは復活するか／金魚と蟻と人間と―人肉喰いの思想／金沢・東京・田端／舌と鼻と／鏡と影の世界―わが“のすたるじあ”／正義の味方／ある冥さについて―近代と私／死者への手紙―手紙の楽しみ／木馬館周辺―見世物／点としての東京―東京の風景／電気地獄草紙／暗号異聞／禁じられた扉／偏愛的俳優〈スタア〉列伝―光と陰の彼方に／幻影の都市／地下鉄幻想／立野地蔵尊由来／男が化粧するとき／現代の「いき」の構造／「新青年」の変遷／恐山の異臭／死者の香―恐山菩提寺／カイン待望論／空しい音―愛読者をさがす登場人物／影の会のこと―乱歩から清張へ／百科辞典とコンピュートピア／街角での呟き／百科事典と人間と
作家小論と書評 ｛地下鉄の与太者たち―ボルヘス／戦後風俗の中のカフカ／風に唄う人―プレヴェール／老いたるアリョーシャ―ドストエーフスキー／手ぶくろ―バルザック／ヘルマフロディットの幻―バルザック／散文精神の城―メリメ／プルーストの日々／幻影美術館にて―ボッス小論／昼見えぬ星―北原白秋／枯野と十字架―竹久夢二／廃園にて―横溝正史／胎児の夢―竹中英太郎／枇杷熟るるころ―内田百�痢織汽標�爵の脇役たち／繭ごもる嬰児―澁澤龍彦／炎の種子―寺山修司／弔辞／われに五月を／美と恐怖の塔―江口裕子著『エドガア・ポオ論考』／朝霧の彼方に―『木々高太郎全集�機戞神玄圓猟戚曚隼犲圓暦狙紂重亙娉杭酩塀検悒▲鵐疋蹈�ュノスの裔』／登攀を許さぬ峻峰―平畑・三谷編集『西東三鬼全句集』／戦争の日々の哀歓―山田風太郎著『滅失への青春』／痛ましい予言者―海野十三著『敗戦日記』／『天狗』頌―大坪砂男／『美国横断鉄路』―久生十蘭／『青蛾館』―寺山修司／『グアテマラ伝説集』―アストゥリアス／『記憶の遠近法』―澁澤龍彦／『評伝三島由紀夫』―佐伯彰一｝
第六巻 自作解説
初収一覧
月報：百科事典のことなど（高橋康夫）／中井文学の一航跡（小笠原賢二）／ヴェニスでの新生（宇山秀雄）
【VII巻：恥】1989年 P466 帯僅イタミ、僅汚れ、背少ヤケ 本体元パラ背少シミ汚れ
目次：
黒鳥館戦後日記 西荻窪の青春 ｛一九四五年／一九四六年｝
続・黒鳥館戦後日記 西荻窪の青春 ｛一九四七年｝
LA BATTEE（ラ・バテエ）
I 一九七九年一二月〜八〇年二月 ｛1 罪の構図／2 孫・孫・孫／3 呪文／4 二通の遺書／5 人名整理法／6 旅へ／7 故郷の香／8 コアラと牛肉／9 黒い噴火／10 悪感｝
II 一九八〇年三月〜四月 ｛11 音楽展出／12 肩書き／13 語り草／14 暗い春／15 桜の下には／16 一振りの剣／17 時の人／18 春の触手／19 死の合唱隊〈コロス〉／20 遠い弔鐘｝
III 一九八〇年五月〜六月 ｛21 痴漢／22 清涼剤／23 紫陽花の畔には／24 老いの歯／25 アダムの朝／26 「新青年」の話／27 白鳥の死／28 梅雨と七夕／29 地上の縁／30 地上の罠｝
第七巻 自作解説
初出・初収一覧
月報：アルバム（補）（モノクロ写真13葉）
【VIII巻：失寵】1989年 P406 帯僅汚れ 本体元パラ端僅破れ ※この巻には元々月報がありません
目次：
月蝕領宣言 ｛殺人者の憩いの家／ポオ断章／影の訪問者／カニバリズムの夜／不在｝
LA BATTEE（ラ・バテエ）53〜60 ｛分身／わが町の記……／コバルト60／白線屋／執行猶予／舌代／最後の不安／フィナーレ｝
流薔園変幻 ｛まえがき／一九七五年／一九八二年／あとがき｝
月蝕領崩壊 ｛まえがき／第一部 一九八二年（六月二八日-九月一六日）・一九八二年（九月一七日）−一九八三年（一月一三日）・一九八三年（一月一六日ー-四月二七日）・追記／第二部 一九八一年（一月一六日-三月二六日）・一九八一年（六月一日）-一九八二年（一月一一日）・一九八二年（四月一九日-六月二四日）・あとがき｝
第八巻 自作解説
影の墓碑銘（相澤啓三）
初出・初収一覧
【IX巻：時間】1987年 P516 帯少汚れ、背少ヤケ
目次：
光のアダム ｛第一章 （1 双子座の森／2 甦る館／3 瀬良家の神話）／第二章 （4 贋のヘルマフロディット／5 時間の翼を持つ少年／6 緑の屍体置場）／第三章 （7 瀬良家の聖杯／8 異次元の入口／9 宝石と人魚／10 抜け穴と裸）／第四章 （11 悪夢と炎色反応／12 月との戯れ／13 光のアダム／エピローグ 堕天使園にて）／あとがき｝
他人〈よそびと〉の夢
蒼白者の行進 ｛序章 （月蝕の狙撃者／恋するアンドロイド／透明な手錠／漂う骨たちの対話／「ここでは何も起こらない」／毒草園の朝食）／第一章 （アルテミスの遠矢／無言者、もしくは蛇の婚／凍りついた王国の中で／仮面者の登場）／第二章 （ソドムの回廊／ゴモラの城館／黒い谷の底で／後記）｝
第九巻 自作解説
初出・初収一覧
月報：ある因縁話（高橋康也）／東京・山の手・仕掛け人（山下肇）／幻影の人（久保田般彌）
【X巻：死】1987年 P365 帯断裂、イタミ大
目次：
虚無への供物
校訂 〈虚無への供物〉地図
第十巻 自作解説
月報：幻想の山塊（倉橋由美子）／個性（星新一）／昭和３９年「塔晶夫を励ます会」のスナップ写真３葉
【別巻：宴】1988年 ｐ422 帯端少破れ
目次：
詩篇 眠るひとへの哀歌 水星の騎士 拾遺詩篇 ｛眠るひとへの哀歌 全篇／水星の騎士 全篇／拾遺詩篇｝
アルバム ｛「虚無への供物」／黒鳥館から流薔園・月蝕領へ｝
黒衣の短歌史 ｛はじめに／昭和二十年〜二十三年／昭和二十四年〜二十五年／昭和二十六年〜二十七年／昭和二十八年〜二十九年／昭和三十年以降／おわりに｝
現代短歌論 ｛模倣のすすめ／無用者のうた―戦後新人白書／現代の魔女―葛原妙子小論／短歌の墓／眠れゴーレム―寺山修司論／“夏”のために―『岡井隆歌集』／標的としての現代歌人／緑の翼―石川不二子小論／むなしさの母胎／クウェート国通信／あとがき｝
中井英夫著作目録・年譜
別巻 自作解説
初収一覧
月報：奈々久生のころ（尾崎左永子）／前衛編集者の置土産（馬場あき子）／書かでもの記（中井英夫）
