昭和55年　Ａ５判　P254　帯背ヤケ大　カバーヤケ、上端少イタミ　小口からページ端にかけてヤケ、時代シミ

“聖職者がおり教団があるから宗教が存在するわけではない。多くの矛盾や不安・動揺の誘因をなす社会があり、救済を求めて止まない民衆があるからである。ところが宗教の外在的研究は、とかく重要な原点を忘れて末梢の分析に走りがちとなる。その反省に立って、今日の世界が何故かくも強烈な関心を宗教に対し懐くのか、その意味を内在的に探究しようとする。そして在来の学的枠組を超えた新しいパラダイムの構築を企てている。何れも野心的情熱の溢れる成果を盛りこんだ論文集である。”（帯文）

目次：
まえがき

【Ｉ　伝承世界の継承と展開】
「イズナ」と「イズナ使い」　Ｋ市における呪術―宗教的職能者の事例から（佐藤憲昭）
　一　はじめに
　二　イズナの輪郭
　三　イズナ使い
　四　イズナ使いの意味するもの―ひとつの視点
　五　おわりに
伝承としての祭り世界―信州新野の雪祭りと市神の盆祭り―（茂木栄）
　一　はじめに
　二　正月と盆
　三　雪祭り
　四　市神の盆祭り
　五　むすび
奄美におけるノロ継承のイデオロギー―名瀬市郊外甲地区の事例研究―（井桁碧、山崎美恵）
　一　研究視角―祀られる神から祀る神へ
　二　神役継承の伝統的イデオロギーと社会構造
　三　ウヤノロ継承の経緯
　四　逸脱とイデオロギーの再構築
　五　おわりに
宗教受容における文化的、社会的側面―観音信仰をめぐって―（門馬幸夫）
　一　はじめに
　二　観音信仰の特色
　三　観音信仰の社会的側面
　四　結びにかえて

【ＩＩ　救いの体験と論理】
救いの論理―天照皇大神宮教の場合―（渡辺雅子）
　一　課題と方法
　二　天照皇大神宮教の概要　｛教団の歴史と概況／教祖の位置づけと教義｝
　三　生活史再解釈のメカニズム　｛試練の意味づけ／試練の克服／試練に際しての教祖の位置づけ｝
　四　再解釈を支える基盤
　五　結語
現代に生きる憑依と憑抜の論理―世界真光文明教団の場合―（宮永國子）
　一　序論
　二　憑依の成立　｛憑依の証拠―霊動／実践的規定―霊障／理念的規定―神々の宇宙｝
　三　憑抜―お浄め
　四　結語
からだの救済とこころの救済―医療宗教学へ―（島田裕已）
　一　救済
　二　霊動
　三　告白

【ＩＩＩ　神学と教典の意味世界】
メソディズムにおける宗教体験と社会（山中弘）
　一　メソディズムの影響をめぐって
　二　ウェスレー神学の構造　｛聖霊の確証とその果実／キリスト者の完全｝
　三　日常的態度と経済倫理
　四　おわりに
イスラーム・ファンダメンタリストの世界認識―サウディアラビアでの事例から―（大塚和夫）
　一　はじめに
　二　クラーンとアラビア語
　三　預言者とウンマ
　四　イスラーム・ファンダメンタリズムをめぐって
真宗教学と歎異抄―教典論への試み―（林淳）
　一　はじめに
　二　作者の発見―形式による理解の発生
　三　歎異抄の再生―親鸞の言葉けの同化
　四　同化方法の反省―教祖の名乗
　五　むすびに

【ＩＶ　聖性の存立構造】
カリスマの磁場をめぐって―カリスマ論の一考察―（川村邦光）
　一　Ｍ・ウェーバーのカリスマ概念
　二　カリスマの特性―カリスマの磁場（一）
　三　カリスマ化過程―カリスマの磁場（二）
宗教的超越世界の『現実的』存立―経験処理の一様式としての宗教的二世界論―（対馬路人）
　一　はじめに
　二　個別的経験と「実在世界」
　三　経験に対する宗教的態度
　四　超越世界の対象化とその帰結
　五　おわりに

宗教社会学研究会活動報告