1991年 A5判 P567、544 各巻とも帯・函・月報付 本体元パラ少イタミ 小口少時代シミ
翻訳、文学や美術に関する評論、アンソロジーなどの仕事も多く残した澁澤龍彦の、小説・物語のみを集めた作品集。
“今回刊行される『澁澤龍彦綺譚集』は、この(※1)中で著者自らが列挙している『犬狼都市』『唐草物語』『ねむり姫』『うつろ舟』『高丘親王航海記』を主軸とし、これに著者によって死の直前に発掘が予言されていた最初期作品集『エピクロスの肋骨』、更には『ドラコニア綺譚集』を加え、澁澤龍彦の「綺譚」あるいは「小説/物語」の宇宙を象ることを企図したものである。…”(巻末「解題」より)
(※1 澁澤が死の一カ月ほど前に記したと考えられる文章「新編ビブリオテカのためのあとがき」のこと。)
【第1巻】
“エロスと夢幻、流麗にして絢爛たる物語の饗宴”(帯文)
目次:
I {撲滅の賦/エピクロスの肋骨/錬金術的コント}
II {犬狼都市(キュノポリス)/陽物神譚/マドンナの真珠}
III {鳥と少女/空飛ぶ大納言/火山に死す/女体消滅/三つの髑髏/金色堂異聞/六道の辻/蜃気楼}
IV {極楽島について/鏡と影について/飛ぶ頭について/かぼちゃについて/文字食う虫について/スペインの絵について/ラテン詩人と蜜蜂について/箱の中の虫について/桃鳩図について/仮面について/童子について/巨像について}
解題
月報:澁澤龍彦小説集のために(中沢新一)/変身と消滅―澁澤龍彦の小説世界(川本三郎)/コント・アラベスク(平出隆)/幾何学的眩暈(三浦雅士)/綺譚またオブジェならむ(高山宏)
【第2巻】
“怪奇と幻想、警抜にして精妙なる綺譚の宇宙”(帯文)
目次:
V {ねむり姫/狐媚記/ぼろんじ/画美人}
VI {護法/魚鱗記/花妖記/髑髏盃/菊燈台/髮切り/うつろ舟/ダイダロス}
VII 高丘親王航海記 {儒艮/蘭房/獏園/蜜人/鏡湖/真珠/頻伽}
死の予感 あとがきにかえて(澁澤龍子)
解題
月報:『澁澤龍彦綺譚集』刊行に寄せて(奥野健男)/ラディカリズムとしての中庸(松山巖)/「物」の昇華(川村二郎)/小説読みの醍醐味(高橋睦郎)/球体のものがたり(中野美代子)