2002年 A5判 ソフトカバー P371 カバー少スレ
陰陽道の思想や歴史はもとより、有卦絵・小説・マンガといったメディアとの関わり、いざなぎ流を例とする民間の陰陽道、発掘調査で発見された呪符木簡からみる実践ほか、分野の異なる研究者による論考17篇を収める。
目次:
はじめに
【第一部 思想】
第一講 日本における風水と陰陽道(鈴木一馨)
はじめに/一 日本への風水の伝来/二 律令国家と風水/三 風水の日本的展開/おわりに
第二講 陰陽道の形成と道教(増尾伸一郎)
はじめに/一 陰陽寮の成立/二 技芸の内容と伝習/三 鎮祭への関与/四 陰陽道祭の形成/五 陰陽道書の撰述/おわりに
第三講 天変と怨霊(米井輝圭)
一 陰陽師の虚実/二 陰陽師・天変・怨霊/三 結び
第四講 安倍晴明の実像(繁田信一)
一 安倍晴明の名声/二 「鬼ヲ見ル者」/三 験/四 老境の安倍晴明/五 中級官人としての安倍晴明/六 陰陽道第一者/七 陰陽道/八 式神/九 泰山府君祭/十 栄達の条件
【第二部 歴史】
第五講 天文道と暦道 ―古代における成立の背景とその役割―(細井浩志)
{はじめに ―本講の扱う範囲―/天文道・暦道と陰陽道の関係/二 暦道の成立とその背景/三 天文道の成立とその役割/おわりに
第六講 都市 ―日本の都城とその思想的背景―(脊古真哉)
{一 中国の都市と日本の都城/二 都城以外の都市/三 平城京・平安京の占地/四 都城をとりまくバリアー/五 都とともに移動しない寺院、移動する神社/むすびにかえて
第七講 室町時代の陰陽道(柳原敏昭)
{はじめに/一 足利義満執政期/二 足利義持・義教執政期/おわりに}
第八講 近世の陰陽道(林淳)
{一 陰陽道における中世と近世/二 近世陰陽道の指標/三 陰陽師の教団}
第九講 陰陽師と山伏(山本義孝)
{はじめに/一 山伏と陰陽師の社会的位置/二 遠江の「院内(印内)」と呼ばれた集団/三 多様な院内村の在り方/四 村の修験者と陰陽師の社会}
【第三部 メディア】
第十講 陰陽道から大雑書へ ―近世近代における陰陽道の伏流化―(小池淳一)
{はじめに―松岡家の蔵書から―/一 「三世相」と「大雑書」/二 「大雑書三世相」の読まれかた/三 「大雑書」の系譜/四 「大雑書」をめぐる伝承/まとめ―陰陽道史における「大雑書」の位置―}
第十一講 おみくじ(大野出)
{はじめに―おみくじ伝説―/一 元三大師伝説/二 おみくじと漢詩/三 元三大師御籤本/四 御籤本と大雑書/五 携帯用の御籤本/むすびにかえて}
第十二講 有卦絵(矢島新)
{はじめに/一 有卦無卦説の概要と日本への伝播/二 有卦に関する近世の文献/三 有卦絵の遺品/四 有卦絵の特色}
第十三講 大衆文化と陰陽道 ―小説とマンガの世界から―(小池淳一)
{一 陰陽道の現代相へのアプローチ―現代民俗論の領域/二 『安倍晴明物語』と『玉藻の前』―近世仮名草子と近代小説と―/三 「陰陽師」シリーズ―現代の説話として―/四 マンガと陰陽道―イメージの継承と媒介性―/おわりに}
【第四部 実践】
第十四講 民間に伝わる陰陽道 ―高知県いざなぎ流を例として―(梅野光興)
{一 いざなぎ流/二 取り分けと人形祈り/三 病人析禱と式王子/四 五行の重視/五 鎮めと反閇/おわりに}
第十五講 陰陽師の活動(林淳)
{一 陰陽師とは誰か/二 土御門家の活動/三 都市の陰陽師の活動/四 村の陰陽師の活動/まとめ}
第十六講 木簡・呪符・人形(鐘江宏之)
{はじめに/一 呪符木簡/二 墨書土器に見える呪符/三 出土文字資料における呪符/四 人形/おわりに―作成過程に関連して―}
第十七講 安倍晴明の「土御門の家」と晴明伝承(山下克明)
{一 陰陽師晴明の評価/二 晴明の「土御門の家」/三 「土御門の家」の継承者/四 もう一つの晴明伝承}
終講 収録論考の解説(林淳・小池淳一)
{一 思想の視点/二 歴史の視点/三 メディアの視点/四 実践の視点/五 今後の課題}
参考文献
あとがき
執筆者紹介
コラム
厄年研究の視角/天文密奏品/暦注/陰陽師復活?