1991年　A５判　P284＋参考文献P11　函僅汚れ

10人前後のシャーマンへの取材など、おもに1982年、83年に著者が行なった現地調査に基づいた論集。宮古諸島におけるシャーマンの神・先祖観念、特徴、儀式、ライフ・ヒストリー、民間心理療法家としての社会的役割、さらに境界的存在としての不安や葛藤といった問題にも言及する。

目次：
【第一章　序論】
一　本書の構成／二　調査地　宮古諸島／三　宮古の伝統的宗教／四　プリースト（ティス）とシャーマンの関係について

【第二章　比較文化的にみた宮古シャーマンの特徴】
一　霊的能力／二　社会的役割／三　民俗的な分類／四　年齢及び性別／五　シャーマン間の血縁関係／六　知的レベル／七　家庭生活

【第三章　シャーマンの神・先祖観念】
一　宮古コスモスの主な存在とその潜在的緊張関係について／二　神／三　天／四　地／五　龍宮（海）／六　天と龍宮の同一性について／七　ニイジャまたはグソー（あの世）／八　先祖／九　人間の誕生・魂の生まれかわり／一〇　シャーマン／一一　神の助けを得る方法／一二　伝統のなかでの独自性

【第四章　シャーマンの儀式】
一　判事（卜占）／二　儀式（願イ）／三　供え物／四　儀式のパーフォーマンスにみられる柔軟性と独創性

【第五章　シャーマンのライフ・ヒストリー】
一　NTのライフ・ヒストリー／二　他シャーマンとの比較

【第六章　シャーマンの治癒体験　―ライフ・ヒストリーの心理療法的分析（成巫過程を中心に）
一　沖縄のシャーマンの人格安定性／二　シャーマン的素質と傷つきやすさ／三　カンダーリの始まりと内容／四　回復過程／五　カンダーリに見られる自己回復機制／六　シャーマンであることの治癒性

【第七章　シャーマンの社会的役割　―民間心理療法家としての宮古シャーマン】
一　シャーマンと依頼客の相互関係のコンテクスト／二　依頼客の一般的特性／三　シャーマンと依頼客の相互関係（・グループ一　・グループニ　・グループ三）／四　事例研究（・SKの事例　・GKの事例　・KSの事例）

【第八章　シャーマンの社会的周辺性・境界性】
一　宮古シャーマンの境界的な特徴／二　シャーマンの両面性・周辺性についての考察

【付篇　NTとTSの御声（参考資料）

註
謝辞
初出一覧
参考文献