1997年 B5判 P225+巻末付録 帯およびカバースレ、少イタミ、折れ跡 小口少汚れ 正誤表付
“中国古代末の巨大システム技術
水運儀象台は、天体観測所であるとともに、天体の運行に時刻を合体させ、水を動力源として運転されていた天文観測時計塔である。
本書は、この水運儀象台の設計テキスト『新儀象法要』の解読を通じ、実物大の儀象台を復元設計した解読書であるとともに、驚異的な技術水準のはいけいをなす、中国思想の根幹にひそむ宇宙観に迫る。”(帯文)
北宋時代に建設された木造・水力式の天文観測時計塔「水運儀象台」について、冒頭では来歴や完成までの経過、時代背景、技術について解説。続いて儀象台製作時に著された構造及び部品の解説文書『新儀象法要』を訳す。後半部では1997年に下諏訪町で復元された際の技術的な解説を収める。
巻末付録として「水運儀象台復元設計図」を付す。
目次:
【水運儀象台 十一世紀中国の天文観測時計塔】(山田慶兒)
I 北宋の天文台と水運儀象台
{1 水運儀象台模型の進呈/2 天文台の組織と活動/3 北宋における渾儀の製作/4 水運儀象台の建造と命運}
II 天文観測器械の歴史
{1 水運儀象台の構成要素/2 渾儀/3 渾象/4 水運渾象/5 漏刻/付 水車・歯車伝道装置・からくり人形}
III 『新儀象法要』
{1 蘇頌/2 『新儀象法要』/3 テキストと研究}
【新儀象法要 新しい渾儀・渾象の方式の概要】(撰:北宋 蘇頌 訳:山田慶兒、内田文夫 校訂・訳注:山田慶兒)
新儀象法要 巻首 進儀象状
新儀象法要 巻上 渾儀
新儀象法要 巻中 渾象
新儀象法要 巻下 水運儀象臺
【水運儀象台の復元】(土屋榮夫)
はじめに
{1 水運儀象台の復元が目指したところ/2 使用した資料/3 水運儀象台は二種類ある}
I 全体配置
{1 テキストの関連箇所/2 説明}
II 枢輪(水車)・天衡(脱進機)部
{1 テキストから読み取れる部分/2 脱進機の作動上の根本的な問題点/3 復元作業の結果、推定、追加した部分/4 復元脱進機の作動/5 枢輪・天衡部の復元設計の要点/6まとめ}
III 木閣(木造ファサード)・ 昼夜機輪(時刻表示)部
{1 各輪の層序/2 定時法部の構造/3 不定時法部の構造/4 昼夜機輪の回転方向と時打ち機構の関係/5 昼夜機輪の構造/6 木造ファサード}
IV 渾儀、渾象部
{1 受水箱の作動時間/渾儀、渾象に関するテキストの関連箇所/3 輪列構成の推定(I型)/4 輪列構成の推定(II型)/5 I型の原設計値の推定/6 I型の輪列構成のまとめ/7 その他}
V 汲上部
{1 テキストの関連箇所/2 説明/3 河車と昇水下輪の中心巨離/4 昇水上輪、昇水下輪外径とスポーク数の関係/5 河車(昇水上輪)と昇水下輪の位置関係/6 河車の回転方向/7 昇水上輪(河車)と昇水下輪の北側軸受/8 天河の流路取付位置と流路の形状}
VI 台部(建屋を主体とした全体構成)
{1 台の形状/2 門の位置構造/3 階段(胡梯)の位置/4 機構ブロックの配置/5 圭の長さと水趺の中心にある角座の位置/6 取りはずしのきく板屋の構造/7 天梁と天極の位置/8 その他}
VII まとめ
{1 I型とII型の比較/2 現存する『新儀象法要』の成立に関する考察}
VIII 現代技術によるバックアップ
{1 水回りの機構/2 渾儀、渾象の累積回転誤差の修正(I型)/3 歯車/4 軸受}
【付 水運儀象台復元設計図】(土屋榮夫)