2010年 文庫判 P404+34 カバー僅汚れ
“1848年、米北東部の鉄道施設現場で事故が起き、鉄棒が現場監督P・ゲージの前頭部を貫通した。それを境にゲージの性格と行動は一変した。著者自身が携わってきた症例やゲージのような歴史的症例をもとに、著者は、日常生活の折々の場面で求められる合理的な意志決定には、そのときの身体状態と不可分に結びついている情動と感情の作用が不可欠であることを明らかにした(「ソマティック・マーカー仮
説」)。神経科学の第一人者が、いまもさまざまな形で社会に浸透しているデカルト的心身二元論を強く
批判しつつ、有機体としての心-脳-身体の関係を解くベストセラー。新訳文庫版。”(カバー裏紹介文)
目次:
新版へのまえがき
序文
【第1部】
第1章 ヴァーモントでの不幸な出来事
{フィネアス・ゲージ/ゲージはもはやゲージではなかった/なぜフィネアス・ゲージか?/§骨相学/提起された問題}
第2章 明らかになったゲージの脳
{基本的問題/§神経系の解剖学的構造/解明}
第3章 現代のフィネアス・ゲージ
{新しい/難間に取り組む/推論と決断}
第4章 冷めた心に
{前頭前野損傷の他の症例からの証拠/前頭前皮質以外の損傷からの証拠/構造と機能に関する見解/源泉/動物の研究からの証拠/§神経化学的説明について/結論}
【第2部】
第5章 説明を組み立てる
{ミステリアスな連携/有機体、身体、脳について/有機体の状態/身体と脳の相互作用 ―有機休の内側/行動と心について/有機体と環境の相互作用 ―外なる世界を取り込む/§神経システムの構造/部分化された活動から生まれる統合された心/現在のイメージ、過去のイメージ、将来のイメージ/§知的イメージの形成/イメージの保存と想起におけるイメージの形成/知識は傾性的表象の中に統合されている/思考は主としてイメージでできている/神経の発達に関して}
第6章 生体調節と生存
{生存のための傾性/基本的調節に関する付言/トリスタン、イゾルデ、媚薬/欲求と本能を超えて}
第7章 情動と感情
{情動/一次の情動/二次の情動/§情動の背後にある神経装置の特異性/感情/§脳をだます/さまざまな種類の感情/背景的感情/情動のための劇場としての身体/身体に心を配る/感情のプロセス}
第8章 ソマティック・マーカー仮説
{推論と決断/§個人的、社会的空間における推論と決断/合理性はどう機能するか/ソマティック・マーカー仮説/§利他主義/ソマティック・マーカー ―その起源は何か/ソマティック・マーカーのための神経ネットワーク/ソマティック・マーカー ―身体の劇場、それとも脳の中の劇場?/明白なソマティック・マーカー、密かなソマティック・マーカー/§ハニーサックル・ローズ!/直観/個人的、社会的領域外での推論/よかれ悪しかれ、情動の助け/ソマティック・マーカーの前後/バイアス、そして順位の創出}
【第3部】
第9章 ソマティック・マーカー仮説を検証する
{わかっていても感じない/危険を冒す ―ギャンブル実験/近視眼的将来/将来を予測する ―生理学的相関}
第10章 身体志向の脳
{身体がなければ心もない/根本基準としての身体/神経的自己《ニューラルセルフ》}
第11章 理性のための情感《パッション》
{デカルトの誤り}
補遺
{現代神経生物学と医学の理念/現代神経生物学の限界に関する注解/生存のための梃子}
訳者あとがき
注と文献
索引