1987年 四六判 P251 帯背上端僅破れ カバー上端僅イタミ 小口キズ
“日本古代史像の転換
中国江南道教の聖地・茅山《ぼうざん》の実地調査、及び中国道教経典と記紀・神道・天皇信仰・日本仏教との綿密な比較研究を基に、道教と日本文化の密接な関連を照明する。”(帯文)
目次:
「天皇」考六題
一 天皇と道教
二 天皇と神器
三 天皇と八角形
四 天皇と紫色
五 天皇と神宮
六 天皇と神道
古代信仰と道教
一 大君は神にしませば ―『万葉集』の歌五首 (・五回出る言葉 ・中国年号の使用 ・「天皇」も中国語 ・皇子をさす大君)
二 「大君は神」の源流をさぐる (・縦軸と横軸で考える ・未発達の道教研究 ・鏡は神人の象徴 ・道教思想からきた神社の幡 ・宗教心篤い天武天皇 ・天武天皇と道教 ・天武の皇子と道教 ・持統天皇と道教)
三 道教の神観念 (・道教の教理から移入された神 ・神人と現人神 ・現人神は仏教思想)
古代日本と江南の道教
一 道教研究と日本 (・古代日本と呉国との交流 ・倭人は呉の太伯の子孫 ・なぜ道教研究が軽視されたか ・道教研究の原典 ・道教の影響と大阪 ・江南の巫術のわが国への影響 ・葛玄と葛洪につ
いて ・江南で成長した錬金術と石上神宮の七支刀 ・錬金術理論と『古事記』 ・本草学のルーツは中国の江南)
二 道教研究の基礎資料 ―「無上秘要』『雲笈七籤』『正統道蔵』 (・『源氏物語』の中の道教 ・『明月記』の中の道教 ・『雲笈七籤との影響関係 ・道教思想研究の基礎資料 ・上清派茅山道教、洞玄鐘宝派、山東瑯邪の青巫 ・江南道教学の確立=陸修静・陶弘景)
三 日本の中の江南の道教 (・江南の道教と古代日本 (1)「天皇」と「真人」 (2)「朱鳥」と「白朮」と「招魂」 (3)天皇と三種の神器―鏡と剣 (4)天皇と御所と四明岳と神宮(内宮・下宮) (5)古代日本と江南道教の錬金術 (6)古代日本と「五色の薄キヌ」および「五色の幡」 (7)地鎮、人形、むかで信仰、赤城山 ・おわりに)
茅山を訪ねて
石上神宮の七支刀
天寿国繍帳の曼荼羅図
明日香と道教(横田健一・福永光司)
(・天皇と道教のつながり ・肉体重視の道教 ・『古事記』『日本書紀』と道教 ・道教研究の立場 ・庚申信仰と義舎)
伊勢神宮と道教
日本の神社・神宮と道教
太安万侶と道教学
(・太安万侶墓誌の表記法 ・『古事記』序の文章表現 ・『古事記』序(漢文)の中の道教神学 ・鏡と剣 ・古代日本の学術文化と道教学とのかかわり ・太安万侶周辺の知識教養基盤 ・道教学術を志向した時代)
付・稲荷山鉄剣銘の「七月中」
『古事記』神話と道教神学
『古事記』の「天地開闢」神話
道教の中の仏教と仏教の中の道教
(・茅山道教の本山を訪ねて ・「茅」の呪術信仰―道教と仏教と神道と天皇 ・神道と道教 ・道教と天皇と御所 ・茅山道教と古代日本の宗教文化 ・茅山道教と仏教―正一派と全真派 ・中国の仏教寺院における道教―武漢市の帰元寺の場合 ・日本の仏教寺院と道教―長崎の唐人寺と京都の赤山禅院など ・妙見菩薩と南方火徳星君の呪術信仰 ・浄土真宗と道教)
『無量寿経』と道教
(・『無量寿経』漢訳前後の中国宗教界 ・『無量寿経』・老荘・六朝道教の関係 ・『無量寿経』の中の道教的側面 ・『無量寿経』から道教への影響 ・親鸞の思想の中の道教的側面)
あとがき