平成元年 四六判 ソフトカバー P242 カバー背および裏側端ヤケ、内側僅ヤケ
“目的を定めない遊行も、巡路と目的がある巡礼も、歩くこ とにかわりない。「歩く宗教」こそ原始的な宗教の実践であり、洋の東西を問わず、多数の庶民が参加する、いわば教派・宗派のない宗教である。
本書は「遊行と巡礼」の事例として、巫女の遊行、聖の回国、観音霊場の巡礼、四国の遍路、熊野詣などを取りあげ、「海の修験」など、実地踏査にもとづく多くの創見を展開、日本人の民族宗教の構造と内容をさぐる。”(カバー紹介文)
目次:
第一章 歩く宗教
{一 一所定住と一所不住/二 「歩く宗教」と巫女の遊行/三 行道巡礼と「行力」/四 回峰行と供花/五 遊行と遊部/六 鎮魂呪術者の遊行}
第二章 巡る宗教
{一 柱を巡る宗教/二 経塚と巡り行道/三 岩を巡る行道/四 捨身と行道/五 野外の行道と室内の行道/六 常行三昧の念仏行道/七 九品念仏の行道/八 暮露と虫供養念仏/九 宮巡りと護法憑け/十 葬送と巡る宗教/十一 巡る鎮魂/十二 巡る結界/十三 キリスト教の巡礼/十四 瞑想の「巡る宗教」/十五 野外クロワートルと井戸/十六 隠修院の野外クロワートル/十七 ヨーロッパ巡礼のデモンストレーション/十八 イングランドとアイルランドの巡礼}
第三章 西国巡礼の成立
{一 西国霊場と山岳信仰/二 長谷寺徳道上人の三十三印(印文)/四 三 巡礼の札打ちと山伏の碑伝/四 花山法皇開創說/五 平安時代の巡礼記/六 天台宗寺門派の巡礼回国派}
第四章 四国遍路と辺路信仰
{一 四国の辺路/二 紀伊と能登の辺路/三 四国遍路と弘法大師/四 辺路と行道/五 行当岬の行道岩/六 海の聖火/七 海岸山岩屋寺と辺路/八 足摺岬の辺路と補陀落渡海/九 海岸山岩屋寺の逼割禅定/十 辺地と奥之院/十一 青龍寺と独鈷山の奥之院不動堂 /十二 奥之院と龍燈松、龍ノ渡/十三 讃岐地方の辺路/十四 我拝師山の辺路信仰}
第五章 紀伊の辺路と熊野詣
{一 辺路と王子/二 九州東海岸の王子/三 東京の王子と 飛鳥山/四 海の熊野と阿須賀/五 熊野の常世信仰と阿須賀王子/六 淡島と伊勢の常世信仰/七 王子と夷神(恵比須神)と水葬/八 王子の磯(島)と徐福/九熊野の蓬萊信仰/十 王子と稲荷および大行事/十一 新宮の高倉下と頭八咫烏/十二 新宮の浜王子/十三 王子と稲荷/十四 佐野王子の址/十五 那智浜ノ宮王子と神武東征神話/十六 辺路修行と補陀落渡海/十七 浜ノ宮王子と山成島/十八 大辺路 の王子/十九 大辺路の王子と稲荷/二十 大辺路から中辺路へ/二十一 田辺の出立王子と闘鶏神社/二十二 南部王子から切目王子へ/二十三 大辺路から日ノ岬、比井王子へ/二十四 志摩と豊後の王子結び
解説(山折哲雄)