1987年　四六判　P274　カバー僅クスミ　小口時代シミ

“昭和44年に『実行と芸術』を出してのち、文学アナキズムにかかわる論文を、復習するような気持で飛び飛びに書いてきた。それを集めたものが本書である。その間、十数年も経ているので思考そのものにも変化が生じているかもしれない。わたしはその間に大正10年代を中心とした転換期の文学や、あるいは昭和の日本マルクス主義文学にかかわり、また大逆事件の文学的表出などをも探索してきた。
しかし、結局回帰するところは、文学アナキズムの作家や運動家たちであることを痛感した。それを一口で言えば、個と社会の両端にかかわっているからである。(著者あとがきより)”（カバー裏紹介文）


目次：
【大杉栄】
近代文学と大正アナキズム
大杉栄　―エロス的アナキズム―
荒畑寒村　―大逆事件以前―

【宮嶋資夫】
大正アナキズムの死と情念　―宮嶋資夫の青春期をめぐって―
労働文学をめぐって
『坑夫』論
宮地嘉六　―『卒塔婆の家』について―
平沢計七　―再論―

【有島武郎】
『カインの末裔』
『或る女』の幻想
『或る女』・父性の欠如
「宣言一つ」

あとがき
初出一覧