1996年3刷　A５判　P252　函クスミ、背から端にかけてヤケ、函口少イタミ

平安時代の文芸作品などにしばしば見られる、「方角にかかる忌み」や「方違え」の信仰について、その背景となる陰陽道、中国占星術といった知識に基づき研究した論考。
全252ページのうち、P149までが本文および付録となっており、P152以降は注と解説にあてられる。

目次：
序
文献案内

第一章　予備知識
　陰陽道とその著作　｛陰陽道の四つの正統書／正経と認められなかった書物／陰陽道信仰に関する古代中国起源の問題について｝

第二章　平安時代の宗教生活における陰陽道の役割

第三章　方忌み（方角禁忌）とその諸形態
　｛遊行神と方塞り／忌むべき行動の性質。方塞りの方角へ宿泊しに行くことへの忌み／犯土造作／忌みの及ぶ範囲｝

第四章　方違え
　｛最もよく知られた形の方違え／造作などの忌みを免れる手だてとしての方違え／方違えを定期的に繰り返す必要性／春の節分の方違え／他の節分の方違え／夏の節分／秋の節分／冬の節分／『簾中抄』の規則／「本所」という用語の意味／「旅所」／本所の概念の変化／方違えを怠った場合／「四十五日目」と「十五日目」という語の意味／四十五日目を期限として行なわれた方違えの記録／分類しようとしても分類できない記録／十五日目を期限として行なわれた方違えに関する証言が比較的稀であること／本所に居るものが毎日行なう方違えを四十五日間あるいは十五日間の方違えとして解釈する試み／方違えの仕組の分析／言語の面からの考察／違（たがふ、たがへ）をどのように解釈するか？／方違え小史／鎌倉時代の方違えの歴史について｝

第五章　天一または中神
　｛諸方を巡る神の運行／「天一天上」と日遊の問題／中神と長神／中国における天一／天一と太一／日遊の中国起源をめぐって｝

第六章　太白または一夜廻り
　｛諸方を廻る神（太白）の遊行／一日廻り、一夜廻り｝

第七章　大将軍
　｛諸方を廻る神（大将軍）の遊行／忌みの及ぶ範囲の問題／忌み禁じられた活動｝

第八章　金神
　｛金神の起源／諸方を廻る神（金神）の遊行／金神七殺／九星の理論／金神の方違え／日本における金神の歴史の変遷／陰陽道の言う金神の異端的性格／清原家の役割／近代の金神｝

第九章　王相
　｛諸方を廻る回転／五行王相と八卦王相／中国の史料にある記録／『五行大義』の「休王」説／王相という現象が基本的には吉の性格を持つこと／王相という表現を最終的にどのように理解すべきか／日本における王相の問題／王相が引き起こす忌み／王相祭｝

結論
　｛土公／近代における方違えの運命｝

付録
　一　六十（干支）周期表
　二　和漢「方位盤」
　三　節分と季節の始まりの日　―和漢太陽年の二十四気―

注

『方忌みと方違え』解説（川口久雄）
訳者あとがき