2002年 四六判 P238 カバー上端少イタミ 裏遊び紙少ラベル剥がし跡
プラトン『饗宴』に言及されるギリシャ神話の女神アプロディテ、「道成寺」説話、ラフカディオ・ハーンの書簡・記事・随想、夏目漱石『三四郎』、宮沢賢治の童話・詩などをとりあげ、各々の女性に付与するイメージを考察する論考集。
目次:
小序
第1章 二体のアプロディテ
はじめに
1 プラトン『饗宴』におけるパウサニアス演説(180c1-185c3)
2 二体のアプロディテの神話的起源
3 プラトニズムの伝統における「二体のアプロディテ」解釈
結語
第2章 愛のノモスとピュシス ―ソフォクレス『アンチゴネ』904-92問題をめぐって
はじめに
1 文章・文体上の問題
2 ヘロドトスからの引用
3 アリストテレス『レトリカ』における引用
4 アンチゴネの性格
5 神の普遍法との関係
6 埋葬儀礼
結語
第3章 「道成寺」の〈女〉 ―変容の美学
はじめに
1 「道成寺」説話の系譜と物語の変容
2 「道成寺」伝承におけるモチーフ
3 変容と解釈―「道成寺」説話の恐ろしさの分析
結語―変化自在の女
第4章 放浪の男と妹の力 ―ハーンの場合
はじめに
1 日本への旅・永住・愛着と失望: ハーン、モラエス、ヴォーリズ
2 漂泊者としての小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)
3 ハーンと〈母の幻像〉
4 「永遠の女性」vs.「妹の力」
結語
第5章 定位への懐疑 ―漱石『三四郎』の女たち
はじめに
1 上京・東京・出世
2 女―行きずり
3 女―東京の
結語
第6章 「理想化」と「女体」 ―西洋美術から得たもの・見失ったもの
はじめに
1 異形と理想化
2 日本美術における理想化と自然
3 「女体」―身体の復権に向けて
結語
第7章 賢治と「女性」(1) ―ミス・タッピングのこと
はじめに
1 タッピング家の人々
2 「めくらぶだうと虹」
3 「マリヴロンと少女」
結語
第8章 賢治と「女性」(2) ―賢治の禁欲について
はじめに
1 食と性への禁欲
2 芸術的昇華
3 詩人的禁欲の生理学
4 「かなし」への収束
結語
第9章 賢治と「女性」(3) ―文語詩に見る〈女たち〉への眼差し
はじめに―賢治の文語詩
1 文語詩で描かれた〈女〉
2 谷内権現・毘沙門天と祈る女たち
結語
summary
後記