1995年3刷 四六判 ソフトカバー P239 カバー少汚れ、端少ヤケ 小口僅汚れ
“連句の定義・性格から、その歴史、書式とくに歌仙式、建句の規則・題材・方法、興行の形態・方法、連歌・貞門・談林・蕉風の作品鑑賞に至るまで、はばひろく、平易に、親切に説きあかした建句の入門書。巻末に連句用語索引を付して、本書を辞典としても利用しうるよう配慮した。連句を学ぶ学生と一般の連句愛好家に推奨する。”(カバー袖紹介文)
目次:
はしがき
【第一章 連句という文芸】
1 連句の定義
{広義の連句 狭義の連句/二句の付合 三句のわたり/連衆の文芸 座の文芸}
2 連句の性格
{賦物と俳言/即興性と捌き/詠む文芸 読む文芸}
【第二章 連句の歴史】
1 連句の源流
{筑波の道/かけあい歌から短連歌へ}
2 連歌詩への道
{短連歌の流行/鎖連歌への展開/連歌の分化/連歌の文学的確立/連歌の詩的達成}
3 俳諧詩の展開
{俳諧之連歌の興起/俳諧の文学的確立/異体の風の流行/過渡期の連句/連句の詩的達成}
4 連句の解体
{付合の断絶/前句付の盛行/連句の終焉}
【第三章 連句の構図】
1 連句の書式
{連句の種類/懐紙の文芸}
2 歌仙式
{歌仙の構成/発句の作法(1)―切字/発句の作法(2)季語/脇の作法/第三の作法/初表の作法/挙句の作法/月花の定座}
【第四章 連句の式目】
1 連句の規則
{式目と作法/一座何句物/去嫌と句数}
2 連句の題材
{天象 降物 聳物 人倫 生類 植物 時分 神祇 釈教夜分/山類 水辺 居所/述懐/恋/旅/四季/月/花}
【第五章 連句の方法】
1 付合の種々相
{付合の類型/親句の付合/疎句の付合類型の相互関係/うつりの総括性}
2 三句放れの方法
{三句目という場/取成付/心行とぬけ/自の句 他の句}
【第六章 連句の興行】
1 広義の座と狭義の座
{寄合 講 座/寄合と文芸の結びつき/寄合の座/寄合の座の構成}
2 連句の興行
{兼日の準備と座付/俳諧の会法/膝送りの方法/千句のきまり/座の興趣を重んじる
【第七章 連句の鑑賞】
1 『水無瀬三吟』抄
{法楽の本歌取/動きと音と/主観の投影}
2 『守武千句』抄
{神に願いをかけて/付句の二重構造と滑稽/弱い付句の独立性/えそらごとの滑稽/無心所着の付句/ことばの多義性による付合の転化/文脈無視の掛けことば/古典雅語の活用/前句付の性格/月花の定座は未成立}
3 『紅梅千句』抄
{ひとつの詩的達成/俳諧性の衰弱/故事・古典を背景に/あしらいの付け方/心付の実践/ことば遊びのおもしろさ/取付の効用/擬人化の手法/言いかけのおもしろさ/主催者に花をもたせる}
4 『天満千句』抄
{盟主宗因をかこんで/謡曲どりのおもしろさ/意表をつく転換/手の込んだ故事付け/古典の辞句をかすめとる/超自然の句の世界/自然と人事の交錯/時代社会を反映する付合/破格の花の座/クロスワード・パズル/茶花 ナンセンス 大笑い}
『冬の日』抄
{尾張五歌仙/醒めた侘び人/笠のもてはやし/対決する荷分/異例の表六句/意味の四手付/のめりこむ芭蕉/遣句の効果/王朝趣味/戦国趣味/響付の典型/座興の挨拶/匂付の成功/俳諧の当座性/異例の季移り/狂者の体/有終の美}
『猿蓑』抄
{俳諧の古今集/本意の再生/打添の脇/的確な斧正/発話体句法/許六の批評/印象的な地名/蕉風の位付/去来の自注/景気の会釈/蕉風の疎句/中だるみ/庶民の詩情/風狂の人物像/蕉風の傍付/其角の批評}
7 『炭俵』抄
{軽き一筋/絶妙の擬態語/畳語のリズム/経済生活の喜憂/人情の機微/恋の一句捨て/巧みな遣句/お袋の味/露の取成/糞尿の詩/俗談平話/会心の付句/適切な向付/臨機応変の捌き/薄い恋}
連句用語索引