2005年 四六判 P328 帯付 カバー端ごく僅イタミ
“妖怪は江戸時代に遊びになった!
日本人は妖怪をどう見てきたか? ―江戸で突如流行した「手品」や「からくり」など妖怪遊びの数々から現代の妖怪像までを、新しい視点でとらえた画期的な妖怪論。”(帯文)
目次:
はじめに
序章 妖怪のアルケオロジーの試み
かわいい妖怪たち/妖怪研究の二つのレベル/アルケオロジーという方法/妖怪観のアルケオロジー/本書の構成/妖怪という言葉
第一章 安永五年、表象化する妖怪
『画図百鬼夜行』の登場/平賀源内と『天狗髑髏鑒定縁起』/怪談から幻想文学へ/『其返報怪談』と「表象の時代」/化物づくしの黄表紙と表象空間/民間伝承から表象空間へ/鬼娘―見世物にされた妖怪
第二章 妖怪の作り方―妖怪手品と「種明かしの時代」
永代橋の亡霊/妖怪手品本 『放下筌』/狸七ばけの術/科学応用妖怪手品/『天狗通』の光学的妖怪/ファンタスマゴリアと妖怪手品/化物蠟燭―妖怪手品の商品化/写し絵―江戸のファンタスマゴリア/怪談狂言―機械仕掛けの幽霊/怪談噺―視覚的落語の誕生/幻術から手品へ/からくりと 「種明かしの時代」/「種明かしの時代」の怪談/「化物化」する人間/「人間化」する世界/貨幣に支配される神仏/流行神―神霊との市場交換/妖怪手品と博物学―平瀬輔世をめぐって
第三章 妖怪図鑑 ―博物学と「意味」の遊戯
「百鬼夜行」のイメージ/『山海経』と『化物づくし絵巻』/妖怪画と博物学/十八世紀における博物学の転換/博物学的思考/嗜好の広がり /「神の言葉」としての怪物/「記号」から「生物」へ/情報化とキャラクター化/パロディ版「妖怪図鑑」/見立て絵本/見立て絵本と博物学的思考/嗜好 /宝合―「意味」の遊戯/「類似」から「表象」へ/空を飛ぶ摺子木―表象としての妖怪/『画図百鬼夜行』とパロディ
第四章 妖怪玩具 ―遊びの対象になった妖怪
遊びの対象になった妖怪/化物双六―玩具化された妖怪図鑑/妖怪カルタ―博物学の遊戯化/妖怪のおもちゃ絵―江戸のポケットモンスター/亀山の化物―変化する玩具/妖怪花火「眉間尺」/妖怪凧と幽霊凧/妖怪人形―信仰と遊びのあいだ/妖怪玩具の三つの特徴
第五章 からくり的 ―妖怪を笑いに変える装置
妖怪シューティング・ゲーム「からくり的」/象徴操作としての遊び/アノマリーとしての妖怪/グロテスクと笑い/からくり的の性と妖怪/妖怪の「過剰な肉体性」/変化から博物学へ/消えゆく「からくり的」の笑い
第六章 妖怪娯楽の近代 ―「私」に棲みつく妖怪たち
井上円了の妖怪学/「理学の幽霊」と近代の妖怪/光学玩具と「主観的視覚」/月岡芳年の『新形三十六怪撰』/「神経」と妖怪娯楽/妖怪手品から催眠術へ/動物磁気から心霊へ/「千里眼」の商品化/こっくりさんと心霊玩具/ドッペルゲンガー―「私」という不気味なもの/「霊感」考―現代の「霊」をめぐる言説/自分探しとオカルトブーム/妖怪とのつきあい方/妖怪ブームと「私」
註
図版出典一覧
あとがき