1999年 新書判 P190
“週刊誌の占いページやテレビのオカルト番組の語り口につい「なるほど」と納得してはいませんか?
私たちの日常生活に深く浸透しているこころの錯覚を巧みに利用した論法を知ることは、社会を揺るがす様々な問題を見据えるための、大切な手がかりとなる。
認知心理学の眼をたよりにしながら、オカルトや超常現象、占いや通俗心理学に隠された、危険なこころの落とし穴を覗きこんでみよう。”(カバー袖紹介文)
目次:
まえがき
第1章 客観的事実と「こころの真実」
{心理学がもつイメージ/フナイ本と『脳内革命』から得た教訓/オカルト―「真実」を「事実」に変える営み/オカルトで癒されるとき/安易なプラス思考の罠}
第2章 宇宙からの使徒
{空飛ぶ円盤の登場/UFOが絶対に存在する理由/UFOがガメラである可能性/宇宙人と人生相談}
第3章 超常現象研究の危うさ
{「現象」と「主張」の区別を/立証責任は誰が負うのか/大槻義彦教授の活躍を考える/大槻教授ってだれ?}
第4章 真夏の激闘(上)
{ジャパン・スケプティクスの目的/オカルト信奉者と懐疑派の温度差/ワイドショー出演の依頼/丑の刻参りのメカニズム/いよいよ直接対決へ/心霊写真の真偽を検証する}
第5章 真夏の激闘(下)
{霊視の巧みなトリック/立証責任の転嫁という常套手段/霊視の的中を証明する条件とは/最後のスタジオ決戦/逃げのびるオカルト信奉/活発なアメリカの超常現象研究/負けられない戦い}
第6章 血液型性格判断という錯覚(上)
血液型という日本の「常議」/血液型論者の主張/統計の名を借りたトリック/なぜ信じてしまうのか}
第7章 血液型性格判断という錯覚(下)
{血液型による人権侵害の危険性/血液型による差別の構造/無責任なマスコミの態度/「血液型性格相関説」批判をめぐるさまざまな問題点}
第8章 心理学者の悩み
{二つの心理学/臨床心理学は科学か/科学的規準か、有用性か/すれちがう「サイエンス」と「癒しのアート」}
第9章 古いとカウンセリング
{責任回避システムとしての占い/安易で危険な占いカウンセリング/占いによる被害の実例/現実に疎い心理学の専門家}
第10章 クリティカルな思考のために
{授業でオカルトを取り上げる理由/思考の異種格闘技戦/オカルトゼミ開講のいきさつ/ディベートの重要性}
エピローグ
引用・参考文献