2004年 P214+索引P8 帯付 カバー端少イタミ
“秋田蘭画と日本初の洋画論、異色の画人大名の足跡。”(帯文)
“江戸後期の秋田藩主・佐竹曙山は、政治家としてよりも洋風画家として知られ、「松に唐鳥図」などの優れた作品を描き、また『画法綱領』『画図理解』等の日本最初の西洋画論を著した。異色の画人大名の画歴と足跡を辿る。”(カバー袖紹介文)
巻頭口絵としてカラー図版8ページ、本文中にも適宜モノクロ図版を付す。
目次:
口絵
関係地図
第一章 佐竹曙山と平賀源内の秋田旅行
1 佐竹曙山の生い立ちと性格
{佐竹曙山のひととなり/画人大名/曙山の初期の作品/曙山と洋風画/伝統的絵画と写実/「孫太郎虫図」の原画}
2 万能の才人平賀源内一
{平賀源内という特異な人物/平賀源内と蘭人、蘭書/画工宋紫石について/源内落款『西洋婦人図』/源内著『物類品隲』と曙山自筆『画図理解』/『天工開物』と源内の挿絵}
3 平賀源内の秋田行きの経緯
{秋田藩による平賀源内招聘/大山六左衛門・太田伊太夫記連書}
4 秋田角館における秋田蘭画の誕生とそれへの佐竹曙山の参加
{角館での出会い/二人の武助/荻津勝孝の回想/荻津助吉の回想録論評/源内の説く油絵技法/秋田蘭画衰滅説/地元の秋田蘭画研究の問題点/秋田蘭画は秋田のものか?/佐竹曙山は直接源内の教えを受けたか}
第二章 佐竹曙山と小田野直武
1 安永二年以前の小田野直武
{角館の町と小田野直武/小田野直武の出自/直武の初期の作品/直武と浮世絵/直武は御用絵師か}
2 小田野直武、江戸詰を命じられる
{直武の江戸出向/直武江戸派遣の理由}
3 安永六年末までの曙山と直武
{直武の江戸到着と源内への正式入門/源內と金唐革/源内の洋風画指導/『解体新書』の挿絵制作/小野忠重説の批判/銅版画集『人間の職業』/ヨンストン著 『動物図譜』/リーディンガーと直武の作品/島津重豪の曙山への礼状/江戸における直武と佐竹曙山・義躬/平賀源内の直武訓戒/直武と田沼氏/直武秋田本城に召される}
4 安永七年以後の小田野直武と佐竹曙山
{安永七年という年/曙山の『画図理解』と源内の『物類品隲』/直武と人魚/直武と曙山の蓮花図/直武遠慮を申し付けられる/直武遠慮の理由/直武の死/直武を失った曙山/曙山の死}
第三章 佐竹曙山の西洋画論
1 佐竹曙山の『画法綱領』について ―司馬江漢の『西洋画談』と比較しつつ
{曙山の画論と江漢の画論/『画法綱領』の主張/伝統的絵画批判/『画法綱領』と 『西洋画談』/曙山と江漢の教養/ファン・ロイ工ン筆油絵『花鳥画』/文字と図画/田沼時代と『画法網領』/曙山の参考文献/実用主義と鑑戒画/絵画と文章の役割/『歴代名画記』の絵画観/中国の古典と江戸時代の文学・絵画/『歴代名画記』と洋風画家/写実主義の主張/色料の固定化についての批判/中国画論の古典と佐竹曙山/絵画の彩料としての漆/陰影法のない東洋画批判/和漢の伝統的画法批判/洋風画家たちの画論の極端さ/狩野派の保守性/曙山と江漢との社会的地位}
2 『画法綱領』から『画図理解』へ
{『画図理解』の主張内容/蘭学思想と洋風画家/『画法綱領』と『画図理解』との断絶性/『画図理解』の原文/『丹青部』の原文}
3 『画図理解』、同『丹青部』について
{中国の自然科学書との関係/『画図理解』の附図/西洋顏料の紹介/油絵具の製法/油絵のない秋田蘭画}
第四章 秋田蘭画の作品
1 陰影法を導入した個物の描写
{陰影法の導入/佐竹曙山と文鳥/秋田蘭画と東洋画/佐竹曙山と道釈人物}
2 秋田蘭画の花鳥山水図の成立とその功罪
{秋田蘭画の花鳥山水図/佐竹曙山と花鳥山水/近景の部分拡大/西洋の銅版鳥類図譜/障屏画と部分拡大/障屏画の伝統と秋田蘭画/司馬江漢の原画変更/西洋や中国にない部分拡大/花鳥山水図の芸術性/佐竹義躬の俳諧趣味/父義邦の賛のある義躬画/忠国・義躬合作『紅毛玻璃器図』/秋田蘭画の趣味性}
3 晩期の小田野直武の日本風景図とその司馬江漢への継承
{日本風景図に着手したのは曙山か直武か/小田野直武筆『富嶽図』/直武の相良行き/直武と『富嶽図』/花鳥山水図から風景画へ/小田野直武の風景画/『佐竹曙山写生帖』の中の直武画/直武は銅版画をめざしたか/直武と眼鏡絵/直武の眼鏡絵の諸作/直武の大型の眼鏡絵}
4 佐竹曙山の『湖山風景図』とその成立のための小田野直武の貢献
{小品の佳作『湖山風景図』/『湖山風景図』の制作時期}
あとがき
人名・事項・作品索引