1991年 A5判 P239 帯薄く折れ跡 カバー少スレ、端ヤケ、少イタミ
『
問いの書』にはじまる7部作の第2作目。次の『
書物への回帰』へと続く。
アフォリズムのような架空の引用とその注釈、書物や言葉をめぐる形而上学的思索あるいは対話といった詩的な散文の断片とともに、サラとユーケルという恋人の物語が紡がれてゆく。
“失われた大地、見出されし書物
この本は美しい。
「生」と「死」がお互いを見つめ合う、その透明な視線が美しい。
「生」と「死」が手を取り合って、意味の国境をまたいで散歩に出かけてしまう、その足どりが勇ましい。
この本は、評価を拒絶するかわりに全ての人に向かって開かれている。―中島らも”(帯文)
“流謫の民として無数の災厄を呼び寄せずにはおかないユダヤ人たることを巡る無数の問いを、架空のラビによる贋の注釈と引用という遅延を通しつつ、一組の恋人たちの愛と絶望と狂気の物語へと昇華させる本書は、ブランショ、レヴィナス、デリダらの称賛を浴びた類例のないテクスト『問いの書』シリーズ全七部作の第二部にあたる。
ユダヤ人として迫害の怒号、追放の辛酸、砂漠での流謫と数多の生の煉獄をくぐり抜けねばならなかった著者による ユダヤ人であることの、またユダヤ人でないことの不可能性を巡る砂漠の思考は、〈自己〉を、そして〈他者〉を問う者に大きな衝撃をもたらすであろう。”(カバー袖紹介文)
目次:
献辞
序言
【第一部】
白い空間
善の分け前
種子のなかと徴しのなかのサラとユーケルの肖像
鏡とハンカチ
叫びのなかのサラとユーケルの肖像
閉じられた眼の声
石と砂の対話
【第二部】
書物との絆
書く習慣
決して私はあなたの顔を描かなかった
冷えたランプ
ユーケル・セラフィの参加によって学者たちとたまさかの客たちのあいだで交された対話
【第三部】
ユーケルの日記
サラの日記I
サラの日記II
時間の外の恋人たちの対話
サラの日記III
【第四部】
非-場所の守護神I
非-場所の守護神II
ヴェールと処女
降ろされた神のまぶた
死の反逆
世俗の言葉
過去と過去の対話
渡し守と川沿いの住人の対話
秩序と揺れ
【第五部】
朝
ガブリエルへの手紙
海の手
南
訳者あとがき