1979年 四六判 P444 帯スレ、ヤケ、端少破れ補修跡 カバースレ、少キズ、少汚れ、袖折れ跡 小口および両見返しヤケ、汚れ
“「ろくろ」を携えて日本の山野を漂移し、高度の技術と幾多の〈伝説〉とをもたらした特異な旅職集団=木地屋の足跡を、その呼称、地名、文書、伝承などをもと克明にたどりなおし、歴史の蔭の力となって変転をかさねたかれらの生きざまを描く”(帯文)
目次:
序章 「ろくろ」文化の残留
一 「ろくろ」という地名
{1 鯖の道と「ろくろ」地名/2 「ろくろ」地名の軌跡/3 標準化石地名としての「ろくろ」}
二 いろいろな「ろくろ」
{1 円転する木機/2 「ろくろ」の種類とその分類}
三 文化化石としての「ろくろ」
{釶を用いる「ろくろ」/2 「ろくろ」の古さ/釶目による推理}
第一章 「ろくろ」の神さま
一 木地屋の職の本縁譚
{1 「ろくろ」と 親王伝説/2 小松畑という背景}
二 虚構の縁起と謀綸旨
{1 本縁起への疑い/2 縁起のなかの「ろくろ」/3 尋ねても知れぬ謀綸旨}
第二章 「ろくろ」の工人
一 古代の「ろくろ」工
{1今来才伎/2 様工としての「ろくろ」工/3 経軸などの製作者/4 水椀の調をした国々/5 山作所をめぐる一仮説/6 近江の依知秦}
二 中世の「ろくろ」師
{1 道々外生人への展開/2 自立から漂移へ/3 歩き筋の虚像 (イ)畑六郎左衛門の系譜 (ロ)筒井藤太夫の系譜/4 轆轤杣座とその周辺 (イ)近畿地方 (ロ)中部地方 (ハ)関東地方 (ニ)東北地方 (ホ)中国地方 (ヘ)四国地方 (ト)九州地方}
三 近世の木地屋
{1 木地屋支配のプランナー (イ)大岩助左衛門重綱のこと (ロ)虚々実々のメモランダム (ハ)君ヶ畑側記録とのくいちがい/2 氏子狩制度のあらまし (イ)氏子狩の威儀の型 (ロ)本音を記したロ上書 (ハ)氏子狩の編年と廻国のそのスヶール/3 江戸公事顧末 (イ)白川殿の唆 (ロ)三州上津具村事件 (ハ)寺社奉行所裁許とその請状/4 木地屋呼称の問題 (イ)近世「ろくろ」工人呼称の混乱 (ロ)氏子狩帳における呼称の推移}
第三章 木地屋の 「ろくろ」とその技術
一 木地屋のしごと
{1 映画「奥会津の木地師」/2 山における下ごしらえ (イ)山見と当見 (ロ)先山 (ハ)荒木取りと中切り/3 木地挽き (イ)挽くという技術 (ロ)「ろくろ」掛けの操作 (ハ)綱引き補論/4 荷持ちと川流し}
二 木工具としての「ろくろ」
{1 日本木工具史と木工用「ろくろ」/2 古式の二人挽き「ろくろ」 (イ)職人尽絵等に描かれた「ろくろ」 (ロ)軸サンのくみたて―その計測のための方法試論― (ハ)「ろくろ」掛けの付帯工具}
三 「ろくろ」の挽き物
{1 木地の挽き物とその用材 (イ)木地変換の多様性 (ロ)六種の木/2 挽き物の椀形 (イ)碗のむかし (ロ)『形図書』の比較/3 居尻の技術史的側面 (イ)鑯の謎解き (ロ)居尻と糸底のあとさき}
第四章 近代の「ろくろ」の変容
一 明治の変革と木地屋たち
{1 木地屋戸籍と根元地の対応/2 御本墓は「何国何方」}
二 足踏み「ろくろ」とそれ以後
{1 手挽きから足踏みへの変容/2 動力「ろくろ」の一裏面史}
あとがき