平成7年 四六判 ソフトカバー P242 カバー端僅イタミ
“「死の舞踏」は、東方あるいはエジプトに起源をもち、ヨーロッパ中世における民衆文化として華開いたもので「死者たちが真夜中に墓場から現われ、墓地で舞踏をくり広げたあと、生きている者の中から新たな犠牲者を要求する」という観念にもとづき、やがて「死」が様式化して描かれるようになったものである。本書では、この観念と様式の変遷を歴史的に辿るとともに、有名なホルバインや、ダグレイの作品を中心に、図像化された「死」の姿を紹介する。”(カバー袖紹介文)
目次:
I 歴史的背景
1 15-16世紀北方ヨーロッパ {活版印刷術/ペストの流行}
2 人間の一生 {人間の四季/黄金時代から鉄の時代へ}
3 ギリシア・ローマ神話 {「死の神」タナトスと「眠りの神」 ヒュプノス/カロン/シーシュポス/ケルベロスの捕獲/アルケースティス}
4 キリスト教 {「イエス、庭での苦悶」/イエスの再臨と裁きの日/死の術(アルス・モリエンディ)}
5 民間信仰「死を忘れるな」 {死の神/ペトラルカの「勝利」/骸骨の舞/「メメント・モリ」/道徳劇}
6 「マカブレ」 {ジョン・リドゲイト/写本と活字本/「死の舞踏」}
7 壁画 {「ダンス・マカーブル」/パリ聖幼児教会/ロンドン聖ポール寺院}
8 ギヨ・マルシャン {1485年版/「ダンス・マカーブル女性版」}
9 ボドウィン・ド・コンデの作品(13世紀) {「三人の死者と三人の生者の伝説」/隠者の登場/1641年トロワ版/「死」 の形象}
10 ハンス・ホルバインの登場 {社会諷刺/ホラーやダグレイ―イギリス版}
II 『ダンスマカーブル』(1425年、1427年、1485年、1486年)
III ハンス・ホルバイン作『死の舞踏」(1538年、1545年、1562年)
{『死の舞踏」/「死の小舞踏」 または 「死のアルファベット」}
IV リチャード・ダグレイ作『死の所業』(1822年、1827年)
付録
1 「死と狩猟家たち」(オーストリア、1482年)
2 「死と芸術家たち」(チューリッヒ、1650年)
3 「3月革命のバリケードに立つ死」アルフレッド・レテル(フランス、1848年)
4 「泥酔家」(エドワード・フィッツジェラルド作『オマル・ハイヤームのルバイヤート』挿絵、1859年)
参考文献
図版一覧
あとがき