1990年 四六判 P269 函少汚れ、背から端にかけてヤケ、函口少イタミ 本体元パラ端少破れ
“本書はイギリスにおいて、どのようにしてイギリス自体とその言語に関する研究が起こり、そして発展するに至ったかの経緯をのべたものである。…”(本書『まえがき』より)
宗教改革後、大量の文献が失われたイギリスにおいて、(カトリックやピューリタンとは違う)イギリス古来のキリスト教や、王朝の正統性といった議論が起こり、古文献あるいは古英語の研究への必要性が認識されるようになった。
こうした一連の流れについて、日本の国学の辿った流れと類似していると著者は本書冒頭で指摘し、これが論考の端緒となる。
本書では、(1)古文書大量破壊の時代にその保存に尽力したJhon Lelandの活動および彼が残した原稿の流れ (2)イギリス国学研究の推進を庇護・奨励した聖職者Matthew Parkerの活動とその意義、 という2点を中心にイギリス古文献・古英語研究の歴史を辿る。
目次:
まえがき
第1章 古書潰滅とLelandの登場.
第2章 イギリスの「皇国」史観
第3章 最初の「近代的」な英国史家Polydore Vergil
第4章 Tudor王朝と建国神話の必要
第5章 Lelandの史観と業績
第6章 Lelandの遺稿を手にした人々(1) ―ChekeとDee―
第7章 Lelandの遺稿を手にした人々(2) ―BurtonとBale―
第8章 Lelandの遺稿を手にした人々(3) ―Pits, Cave, Hatcher―
第9章 Lelandの発行者たち(1) ―TannerとHall―
第10章 Lelandの発行者たち(2) ―Thomas Hearneに至るまで―
第11章 LelandからWolfeへ ―HolinshedとHarrison―
第12章 LelandからStowへ
第13章 StowとArchbishop Parker
第14章 Stowとロンドン市史
第15章 Matthew Parkerの登場
第16章 ParkerとFlacius
第17章 ParkerとBatman
第18章 Parkerと史書の出版
第19章 Parker と古英語(OE)文献の出版 ―教義問題と出版者John Day―
第20章 Parkerと『アルフレッド大王伝』の出版
第21章 Parkerによる最初の私家版
第22章 Parkerによる古英語聖書の出版
第23章 Parkerと古英語研究
索引