2009年 文庫判 P317 カバー僅イタミ
“日本的なものとヨーロッパ的なものとが重層をなして成立した日本の近代。西周、西田、九鬼、和辻らは、その中で“あるべき近代”を模索した。たんに近代日本の精神構造の解明にとどまることなく、ヨーロッパ近代に対する根本的な反省をも孕んでいる彼らの思想遺産を通し、われわれが直面する現代文明の課題を考察する「日本近代」のトポグラフィー。”(カバー裏紹介文)
目次:
[序] 日本的なもの
第一章 日本美を貫く「一なるもの」 芭蕉と利休
I 四畳半の発見
II 日本座敷の「内」と「外」
III 一期一会をつくる場
第二章 西洋思想「ヒロソヒ」の翻訳 西周
I 翻訳者・西周とその時代
II 哲学用語はこうしてつくられた
III 「ヒロソヒ」の日本的受容と変容
[破]日本の「近代」とヨーロッパの「近代」
第三章 近代への不安 夏目漱石
I 『門』の場合
II 輪廻と永劫回帰
III 「遊ぶ」ということ
IV 自己否定にみる東西の距離
第四章 禅から哲学へ 西田幾多郎
I 西洋精神と非西洋世界の出会い
II 禅の言葉、哲学の言葉
III 確認された両者の違い
第五章 「いき」からの傾斜 九鬼周造
I 貴族出身の哲学者
II 欧化主義の中の「日本」
III 『「いき」の構造』の光と影
第六章 「問」の倫理 和辻哲郎
I 和辻人間学における「内」と「外」
II 抑制された観察者の意外な部分
III 尾をひいた内面の「ひび」
第七章 近代の超克 京都学派
I ブラック・ホールの座談会
II ヨーロッパと非ヨーロッパ
III 「絶対無」の今日性
[急]テクノロジーの時代
第八章 ハイ・テク時代の日本的なもの
I 技術文明史の新段階
II アジア的エトスの再検討
III 西欧も学ぶ時代
第九章 「歴史時間」は加速する
I ヘーゲルの生きた時代
II ヨーロッパ精神の終着点
III 日本的「歴史時間」
第十章 テクノロジーと宗教
I 「創世記」以来の大テーマ
II 東洋思想からの示唆
〔付録〕西周の訳語一覧
原本あとがき
文庫版への新章 二十一世紀ジャポニスムとアメリカ
解説