1968年、69年 A5判 P282+巻末図版、P262+巻末図版 各巻カバーイタミ、スレ、少汚れ 小口ヤケ、汚れ 上巻カバー袖内側古書店ラベル貼付、扉および末尾図版ページ時代シミ多 下巻裏遊び紙剥がし跡、扉および図版ページ時代シミ、P59〜66にかけて少シミ汚れ
編集委員:山中散生、窪田般彌、小海永二
アンドレ・ブルトンが「黒いユーモア」と呼ぶある種の精神をテーマに、スウィフト、サド、ボレル、ポー、ボードレール、リラダン、ロートレアモン、ユイスマンス、ランボー、ジッド、ジャリ、ピカビア、アポリネール、ピカソ、カフカ、デュシャン……といった作家・思想家・芸術家を紹介、論じたうえで、その作品の一部を引く。
“アンドレ・ブルトンの編著『黒いユーモア選集』(André Breton : Anthologie de l'Humour noir, Éd.Sagittaire, Paris)の初版は、一九四○年に印刷されているが、記録によると、この版は当時のヴィシー政府により発禁処分を受けている。一九四○年と言えば、第二次大戦の過程で、パリがナチスの軍隊に占拠され、フランスがナチス軍政のきびしい統治下におかれた年である。
いわゆる“黒いユーモア”に内蔵されている反抗の精神や破壊的要素もさることながら、この選集の内容は、明らかにナチスムとは相容れないシュルレアリスム思想を裏づけるための、資料的な意味をもつものであり、したがって、被占領統治下での検閲の眼を免かれることは、容易でなかったといわなければならない。
《略》
日本訳としてここに公刊することになったこの選集の原典は、一九五〇年版であるが、なお、一九六
六年版も、参考にし、ある項目についてはそれに拠っている。”(下巻巻末「あとがき」より)
目次:
【上巻】
避雷針(アンドレ・ブルトン)(訳:小海永二)
ジョナサン・スウィフト(訳:平井照敏)
D=A=F・ド・サド(訳:窪田般彌)
ゲオルク・クリストフ・リヒテンベルク(訳:清水茂)
シャルル・フーリエ(訳:山田直)
トマス・ド·クインシー(訳:稲田三吉)
ピエール=フランソワ・ラスネール(訳:小浜俊郎)
クリスチャン=ディートリッヒ・グラッペ(訳:水田喜一郎)
ペトリュス・ボレル(訳:天沢退二郎)
エドガー・ポー(訳:入沢康夫)
グザヴィエ・フォルヌレ(訳:弓削三男)
シャルル・ボードレール(訳:村上菊一郎)
ルイス・キャロル(訳:村上光彦)
ヴィリエ・ド・リラダン(訳:齋藤磯雄)
シャルル・クロス(訳:渋沢孝輔)
フリードリッヒ・ニーチェ(訳:高橋允昭)
ロートレアモン伯爵/イジドール・デュカス(訳:栗田勇)
ジョリス=カルル・ユイスマンス(訳:小島俊明)
トリスタン・コルビエール(訳:平田文也)
ジェルマン・ヌーヴォー(訳:嶋岡晨)
アルチュール・ランボー(訳:高橋彦明)
アルフォンス・アレー(訳:片山正樹)
【下巻】
ジャン=ピエール・ブリッセ(訳:高橋彦明)
オー・ヘンリー(訳:平野幸仁)
アンドレ・ジッド(訳:宗左近)
ジョン・ミリントン・シング(訳:小浜俊郎)
アルフレッド・ジャリ(訳:宮川明子)
レイモン・ルセール(訳:嶋岡晨)
フランシス・ピカビア(訳:宮川淳)
ギョーム・アポリネール(訳:窪田般彌)
パブロ・ピカソ(訳:曾根元吉)
アルチュール・クラヴァン(訳:鈴木孝)
フランツ・カフカ(訳:神品友子)
ジャコブ・ヴァン・ホッディス(訳:桜木泰行)
マルセル・デュシャン(訳:粟津則雄)
ハンス・アルプ(訳:小海永二)
アルベルト・サビニオ(訳:森乾)
ジャック・ヴァシェ(訳:波木居純一)
バンジャマン・ペレ(訳:飯島耕一)
ジャック・リゴー(訳:滝田文彦)
ジャック・プレヴェール(訳:大岡信)
サルヴァドール・ダリ(訳:塩瀬宏)
ジャン・フェリー(訳:宮川明子)
レオノーラ・カリントン(訳:有田忠郎)
ジゼール・プラシノス(訳:阿部弘)
ジャン=ピエール・デュプレー(訳:稲田三吉)
あとがき(山中散生)