2008年 文庫判 P475
“プラトン、トマス・アクィナス、カント、ヘーゲル、ハイデッガー、デリダなど西洋の偉大な哲学者たちを個々に取り上げ、彼ら自身の言葉(命題)から、その思想を分析し紹介する。例えば、カントの命題は「ひとは哲学を学ぶことはできず、哲学することを学びうるのみである」。その思想の核心を目指し、掘り出した根源となる言葉は、真に迫り、私たちを思索の世界に誘う。52の命題を選び哲学者を紹介するのは、現代日本を代表する思想家研究者。本書は西洋哲学の流れが見える概論であり、個々の思想家研究の手引きでもある。文庫化にあたり熊野純彦による「レヴィナス」の項を追加。”(カバー裏紹介文)
目次:
まえがき
【古代ギリシアの哲学 ―宇宙と魂の原理】
1 宇宙をめぐる魂の転生(ヘラクレイトス)
2 魂のよくあることへの配慮(ソクラテス)
3 エロスの道行き(プラトン)
4 万物のうちにある神への憧れ(アリストテレス)
【ヘレニズム・ローマの哲学】
5 神々と運命からの解放(エピクロス)
6 コスモポリタンの自律(ストア派)
7 神と合一した哲学者(プロチノス)
8 内面への道(アウグステイヌス)
【中世・ルネサンスの哲学】
9 精神の貧しさと豊かさ (ボナヴェントゥラ)
10 神学の大全の礎(トマス・アクィナス)
11 存在の一義性(J. ドゥンス・スコトゥス)
12 有限世界から無限宇宙へ(N.クザーヌス)
【近代哲学 ―科学精神と内面性】
13 科学者集団の知の力(F・ベーコン)
14 方法的懐疑から日常的生の肯定へ(R.デカルト)
15 構想力の論理(G.ヴィーコ)
16 この宇宙の沈黙(B.パスカル)
17 精神の逞しさ、あるいは転換の勇気((B.de スピノザ)
18 モナドには窓がない(G.W.ライプニッツ)
【イギリス市民哲学の流れ】
19 近代社会の陣痛(J・ロック)
20 見ることと触れること(G.バークリ)
21 知性への懐疑と人生への信頼(D・ ヒューム)
22 パノプチコン(一望監視装置 )の現代(J.ベンサム)
23 市民的自由の成熟(J.S. ミル)
【啓蒙主義とドイツ観念論】
24 近代社会の反面教師(J.J.ルソー)
25 首尾一貫した「折衷主義者」(D.ディドロ)
26 理性の不安(I.カント)
27 像のダイナミズム(J・G・フィヒテ)
28 「新しい神話」の哲学(F.W.J.シェリング)
29 絶対者のパルーシア(G.W.F·ヘーゲル)
【生と実存の哲学】
30 大いなる正午と夜の深淵(F.W・ニーチェ)
31 教会にキリスト教を導入する試み(S・A・キルケゴール)
32 有(存在)の空け透き (M.ハイデッガー)
33 生の流動と躍動(H.ベルクソン)
34 単独者のアンガージュマン(J-P・サルトル)
35 無限としての他者(E.レヴィナス)
【認識と経験】
36 「宵の明星」と明けの明星」(G.フレーゲ)
37 メタ言語の不可能性(L.ウィトゲンシュタイン)
38 過程と実在(A.N.ホワイトヘッド)
39 直知の原理の射程と限界(B.A.W.ラッセル)
40 早く来すぎた記号論者(C.S.パース)
【現象学と解釈学】
41 科学の素朴さから生活世界の素朴さへ(E.フッサール)
42 知覚の現象学から表現の倫理学へ(M.メルロ=ポンティ)
43 自己自身からの離脱(M.フーコー)
44 解釈の多義性と伝統の一貫性(H.G.ガダマー)
45 脱構築の永久運動(J.デリダ)
【科学への反省】
46 論理経験主義から全体論へ(W.V.クワイン)
47 開かれた社会を求めて(K.R.ポパー)
48 パラダイムの断絶と世界(T.S.クーン)
【社会哲学の原点と展開】
49 歴史化された自然と自然化された歴史(K.H.マルクス)
50 啓蒙的理性の暗点(T.W.アドルノ)
51 対話的社会への希求(J.ハーバーマス)
52 不平等の許容限界(J.ロールズ)
文庫版あとがき
事項索引
人名索引
執筆者一覧