昭和56年14刷　B６判　P288　カバー少汚れ、端少イタミ　本体表紙時代シミ　小口およびページヤケ、シミ汚れ

挿絵：柳瀬茂

“この物語の犯人は、あのぶきみなクモが、ねばねばとした糸をかけて、えものをとらえるように、これはとねらった美しい少女を、つぎからつぎへとさらってしまう、恐ろしい男なのです。変装がたくみで、まるでけむりのように、どんあんところへでも自由にしのび入り、また消え去っていくので、警察もどうすることもできません。
犯罪研究で有名な黒柳博士は、警視庁の中村警部と力をあわせて、この蜘蛛男のあとを必死になって追うのですが、いつもうらをかかれてしまうのです。犯人は図にのって、ますます悪事をかさねていきます。
ああ、こんなときに名探偵明智小五郎がいたら……！だれもがこう思ったときでした。その明智探偵が、外国旅行からひょっこりと帰ってきたのです。名探偵のすばらしい推理、そして大活躍がはじまります。怪物蜘蛛男対名探偵の火の出るようなちえくらべです。
ついに蜘蛛男はその正体をあばかれてしまいますが、それはじつに意外な人物でした。その解決にいたるまでのいきつぐひまもない変化を、あじわっていただきたいと思います。”（本書「はじめに」）

目次：
なぞの美術商／からっぽの家／クモのおどり／奇妙な広告／黒柳博士／石膏像の怪奇／恐ろしい想像／消えうせた男／第二の発見／殺人鬼のしわざか？／クモの糸／招待状／スクリーンの恐怖／またもや挑戦状／ロケーションの出来事／うたがいの変事／笑う銃口／約束の時刻／深夜の追跡／地下の密室／生きているポスター／青ひげの負傷／名探偵の登場／蜘蛛男の正体／ひと足ちがい／はなれわざ／がい骨のゆくえ／山村の決闘／渓流の死体／四十九人の少女／パノラマ地獄／剣の山