昭和53年初版　四六判　P247　帯およびカバー少スレ、端僅イタミ

海外ＳＦノヴェルズ

“新たな宇宙誕生神話を軽妙なエスプリとほら吹き男爵そこのけの語り口で、途方もなく奇妙きてれつに綴る連作短篇集！”（帯文）

“宇宙誕生のそもそもの最初から、そしてその後の宇宙史・生命史のさまざまな事件をほらふき男爵そこのけのコミカルな口調で語る、いままでのＳＦになかったほどの不思議な、奇想天外な、途方もなく愉快な宇宙奇話。
かつて、ハシゴを使ってのぼって行けるほど月が近かった時代の悲恋物語「月の距離」、あらゆる形象のない無の時代に銀河の回転周期を計ろうと、みえないしるしをつけたことから起こるドタバタ・ナンセンス「宇宙にしるしを」、時間空間がまだ存在せず、誰もかれもが一点に集まっていた善き時代をなつかしむ「ただ一点に」、物語を書きしるしているその文字の間に人間が闖入して来るエピソードをもつ「空間の形」、それ自体形もない漠然たる想念、ただ存在するという意志だけによってあざやかな色と形を備えた貝殻をつくりだす貝の話「渦を巻く」、人間たちに恐龍の最後の生き残りと認めてもらえぬまま共同生活を営む恐龍の悲しみを描いたペーソスあふれる「恐龍族」など、とにかく風変りで絶妙な味わいをもつ12の連作短篇集。
奇抜なアイデア、自由奔放な空想力で世界中に知られるカルヴィーノの才気煥発なエスプリと巧妙なストーリイ・テリングで綴られる本書は、たんなるナンセンスな面白味だけではなく、するどい文明批判と軽妙な諷刺、そして人類へのそこはかとない悲哀に満ちた宇宙コミック・ストーリイの傑作だ！”（カバー袖紹介文）

目次：
月の距離
昼の誕生
宇宙にしるしを
ただ一点に
無色の時代
終りのないゲーム
水に生きる叔父
いくら賭ける？
恐龍族
空間の形
光と年月
渦を巻く

あとがき