1991年初版　四六判　P260　カバースレ、少キズ、上端少イタミ

“生死の境を越えて秘所を回峰することにより、自然を思想化し、山岳のマンダラ宇宙と合体する山伏たち……。出羽三山の開山伝説、景観思想、儀礼の構造、即身仏信仰などを解読し、民俗信仰の深淵に流れる修験道の生命・宇宙観＝もう一つの宗教史を浮き彫りにする。”（カバー裏紹介文）

目次：
第一章　修験道の宇宙
　Ｉ　羽黒修験の開山伝説　｛能除太子と聖徳太子／能除太子と役行者／金剛蔵王権現と三宝荒神｝
　ＩＩ　月山・闇と兎のフォークロア　｛神秘の祭・採燈祭／月山の中空構造／松例祭―兎と烏が演じる呪術的儀礼／月の思想と生命の記憶｝
　ＩＩＩ　お羽黒石と金属民俗学　｛霊石・お羽黒石と神仙薬／出羽さんざんと金属技術集団／修験道と金属・鉱山伝承｝
第二章　出羽三山・マンラダ論
　Ｉ　出羽三山の景観思想　｛出羽三山の時間論／出羽三山のマンダラ宇宙（1）―東西線／出羽三山のマンダラ宇宙（2）―南北線／出羽三山のマンダラ宇宙（3）―民と戌亥｝
　ＩＩ　羽黒修験・秋の峰の構造　｛秋の峰修行の三重構造／異界を幻視する装置としての秘所｝
　ＩＩＩ　湯殿山詣と音のマンダラ　｛上火と梵天／湯殿山法薬と御沢仏／羽黒修験と三山祝言｝
第三章　歴史の記憶装置・即身仏
　Ｉ　土中入定伝説と異人殺し　｛土中入定と火定／舎利信仰の流行／土中入定の思想史／異人殺しと土中入定のメカニズム｝
　ＩＩ　即身仏信仰と隠された一揆　｛出羽三山・即身仏信仰の成立／飢餓の思想と即身仏信仰／武士殺し伝説と即身仏信仰｝
　ＩＩＩ　死者を成仏させない供養　｛上山一揆と遺骨信仰／隠された歴史の記憶装置｝
あとがき