2007年2刷 P285 カバー端僅イタミ 地少汚れ 扉ページ上角少折れ跡
“顔に対する美意識は、その時代の社会や文化によって規定されてきた。顔の歴史は社会・文化の歴史である。どのような顔が美とされ、なぜそれが選ばれたのか。感情を面に表さない「顔隠しの文化」、横顔よりも正面顔や背面の美を意識する「正面顔文化」はどのように生まれたのか。文献を丹念に考証し、実験も交えながら、顔を通して日本文化の新しい見方を提示する画期的論考。”(カバー裏紹介文)
目次:
はじめに
第一章 古代から中世の顔
{眉の美意識の誕生/紅と白粉のはじまり/額の化粧/装身具の発達と消失/平安時代の顔とは/白粉の再現実験/白い肌と階級/中高美の発生/眉を抜き、描く/お歯黒の登場/古典文学にみる美人観/絵画にみる顔の美/醜なるものの表現/眉化粧の意味/なぜ垂髪が選ばれたか}
第二章 日本的顔の美の成立
{口紅の発達と笹色紅/江戸時代の眉化粧と顔型/一本眉の意味/生え際の美の発生/白い肌はますます価値大に/目の化粧/中高の美と横顔/襟の足/お歯黒文化の完成/化粧本から美を探る/女大学/浮世絵の美人像/西鶴の美人観/韓国との比較/顔つくりへの批判と顔隠し/外国人が見た化粧風俗}
第三章 近代の顔へ
{顔の明治維新/明治以降の美意識の変遷/化粧書にみる美意識/顔の近代化/戦争と化粧}
第四章 戦後の顔と化粧
一 欧米志向 {アメリカンスタイルの登場}
二 マスメディアの影響 {映画の力/アイメイクの登場/カリプソ・メイクの流行}
三 大衆化の始まり {アイメイクの普及/ピンクからオークル、ナチュラルへ/修整メイクアップ/口紅―色から質感へ/身体の数値化による美}
四 個性化の兆し {日本人らしさの追求/自分らしさの追求/アイメイク―線から面へ/ナチュラルメイクアップの確立}
第五章 現代の美意識
一 外見のボーダーレス時代 {男女の壁の崩壊/男も化粧する時代に/しょうゆ顔・ソース顔の流行/「黒」一辺倒の時代の終焉/肌色という色名}
二 「かわいい」が基準の時代 {顔を出さないかわいらしさを選ぶ少年少女たち/八重歯はかわいい?/小顔ブーム/根強いかわいらしさ志向と多様化}
第六章 日本人の顔文化論
一 伝統的「顔隠し」の文化 {留学生のレポート/顔隠しの文化/顔でのコミュニケーション/日本人にとっての表情/清潔志向/毛深さの排除/ホクロの美学/存在感のないからだ文化}
二 正面顔文化と横顔文化 {「横顔」という言葉/欧米におけるプロフィール文化/東アジアにおける顔の文化の相違/平面的で単一性の文化から/横顔文化との比較}
原本あとがき
学術文庫版あとがき
主要参考文献