1994年初版 A5判 P173 カバー上端僅イタミ
目次:
はじめに
I いきている石斧
1 パプア=ニューギニアの石斧
{今に生きる石斧と鉄斧/柄がなくても「斧」/石斧で木を倒す/縦斧・横斧/双刃斧/両刃と片刃/斧の部分名称と前後左右/ニューギニアのヘブ族の生活/ヘブ族の石斧/横斧による伐採/足場を組む/太い木は周りを切りこむ/クククク族の横斧/花嫁代償としての石斧/ハーゲン山の石斧/重くて持てない斧/石斧は暮しと富の源泉/服喪の指切断/シアネの人びと/斧を使うのは男だけ/男の仕事/女の仕事}
2 オーストラリアの石斧
{イル=イオロント族の石斧/石斧の材料は人から人へ/斧を作る/斧の用途/斧は男のもの/トーテムとしての石斧}
3 最終末の石斧
{ドゥナの人びと/石斧を数量的に調査/石斧の入手方法/石斧の耐用年数の長さ/石斧の伝世と複数所有/石斧の土中発見/石斧は人と共に動く/女の石斧/石斧の運命}
II 鉄斧がやって来た
1 石斧から鉄斧へ
{まず鉄斧、次にナイフ/鉄斧のよび名/鉄器の普及と石器の運命/鉄斧と鋼鉄斧の違い/鉄斧は石斧の4倍の効率/2次曲線と1次直線}
2 鉄斧は社会をどう変えたか
{技術革新は起きなかった/夫と妻の力関係に影響/社会の仕組みの変質/鉄斧は1年10マイルの速度で普及/鉄斧の出現は男だけを解放/宴会がふえ、ブタ泥棒がふえ、戦争も頻発/斧の袖}
III 民族例と考古学
1 社会の中の斧
{斧は男の道具/ヨーロッパ新石器時代の男の斧/中国新石器時代の男の斧/縄紋石斧も男のもの/斧は属人具/民族例の祭りの斧/ヨーロッパ先史時代の祭りの斧/神の象徴、権威の象徴としての斧/縄紋時代の祭りの石斧/土で作った斧/石斧の埋納}
2 デンマークとスイスの石斧に学ぶ
{柄の作り方/柄孔と斧身との隙間/柄孔に斧身が密着/弥生時代の縦斧は「全周接着」/大振りと小振り/片刃気味の縦斧/石斧による切りこみ、鉄斧による切りこみ/片手用の斧、両手用の斧/右手用の斧、左手用の斧/振れと縦横中間斧/火事にあった斧、壊れた斧の身と柄/重い石斧から軽い鉄斧へ}
3 斧の用途
{楔としての石斧/皮を整える石斧/骨・角を対象とする石斧/調理用の石斧}
IV 刃物の変形と使用痕
1 刃物の変形
{使い捨て/刃の付け直し/刃の付け直しと刃物の廃棄/刃物のアガリ/未成品から廃品まで/穂摘み用石器の変形/銅鋤先の変形/敵を倒して折れた剣/岩宿時代の石斧の変形/刃部礫面石斧/接合資料/楕円形石斧の変形/片刃から両刃へ/刃が斜めに減る}
2 使用痕
{刃物に残る傷から考える/錐の使用痕/千枚通しの使用痕/ステーキ用皿の使用痕/考古資料の使用痕研究の先駆者/カーウェンによる石鎌の光沢の研究/石包丁の光沢/セミョーノフの使用痕研究/進む使用痕の研究/セミョーノフの紹介/縦斧の使用痕/横斧の使用痕/針葉樹による使用痕/使用痕による用途の判別/肉と骨とによる使用痕/木による使用痕/獣皮による使用痕/多用途の結果/多目的な剥片石斧/木を焦して加工/鋤・鍬の使用痕/横斧・鍬併用説の否定/使用痕のある斧は多くない}
V 斧の起源、斧との決別
1 斧の起源、横斧から縦斧へ
{立木から板を剥ぎとる/民族例における横斧優勢・縦斧優勢/先史例における横斧優勢・縦斧優勢/ヨーロッパにおける横斧から縦斧へ/ロシア・中国における横斧から縦斧へ/アメリカにおける横斧から縦斧へ/オーストラリアの最古の横斧/日本における横斧から縦斧へ/横斧の誕生/cross-axes 横斧、straight-axes 縦斧の提唱}
2 斧の割合、石斧から鉄斧へ
{縄紋人の道具箱/見かけ上の割合/漸進的な移り変わりと激変と/北部九州では加工斧から鉄器化か/遺物の数の考え方/木製品に残る加工痕と砥石からの接近}
3 斧への鎮魂歌
{遅々たる発達と猛速の発達/心のこもった道具から非情の機械へ/新しい道具が生み出した時間/手の破壊者へ、地球環境の破壊者へ}
あとがき
参考文献