2008年新装版2刷 四六判 P346+文献P14+索引P15 カバー僅イタミ、スレ 天部少湿気波打
“ワイマール共和国が生んだ『カリガリ博士』は、映画芸術の画期的な作品である。同時にそれは、権力のもつ狂気を描き、ナチの不吉な前兆を漂わせていた点に時代のシンボリックな意味をになっている。文芸批評家ウィリイ・ハースがいうように、「そこには、あの薄気味の悪い、残酷な、野蛮なドイツがあった。」
ドイツの卓越した映画作家たち―エルンスト・ルビッチュ、フリッツ・ラング、カール・マイヤー、G.W.パプスト―の数々の作品は、まさしくその時代のドキュメントであり、映画愛好家のみならず、社会学、社会心理学、現代史を研究する人人に興味ある素材を提供するであろう。
著者は、映画は他の芸術媒体よりもより直接的な方法で、その国民の集合的な精神を反映する、という考えのもとに、ドイツ映画をとおして、ヒトラーを出現させるに至ったドイツ人の秘められた内面的パターンを明らかにする。本書は前ファシズム的徴候へのきめ細かな分析による、文化史的アプローチの傑作といえよう。”(カバー裏紹介文)
目次:
序文
序論
第一章 擬古的な時代(一八九五-一九一八)
{一 平和と戦争/二 前兆/三 ウーファの誕生}
第二章 第一次大戦後の時代(一九一八-一九二四)
{四 自由のショック/五 カリガリ博士/六 専制君主の行列/七 運命/八 無言の混沌/九 重大なディレンマ/十 反乱から服従まで}
第三章 安定した時期(一九二四-一九二九)
{十一 衰退/十二 凍った大地/十三 売春婦と青年男女/十四 新しいリアリズム/十五 モンタージュ/十六 短い起床ラッパ}
第四章 ヒトラー直前期(一九三〇-一九三三)
{十七 歌と幻影/十八 殺人者はわれわれの中にいる/十九 臆病な異端/二十 よりよき世界のために/二十一 国民的叙事詩}
補遺:プロパガンダとナチの戦争映画
{一 映画観と映画政策/二 映画策略/三 旧ナチスのカギ十字の世界/四 スクリーン上のドラマトゥルギー/五 現実との争い/映画構造の分析}
訳者あとがき
参考文献
映画題名索引・固有名詞索引