1999年初版 A5判 P651 帯破れ、スレ、背ヤケ カバーヤケ、クスミ、上端少イタミ
“先端科学思想としてのケミカル・フィロソフィー
16世紀、17世紀におけるパラケルスス派の消長を克明に辿りながら、その自然学、医学、化学、錬金術などを包含する思想の全体像を描くとともに、社会・経済・教育への影響にも論じ及ぶ著者畢生の大作。待望の邦訳成る。”(帯文)
目次:
図版目録
序
【第一部】
第一章 ルネサンスにおける化学と自然
{化学の受け継いだ遺産―古代の錬金術/イスラーム錬金術/西方ラテン錬金術/中世の医療化学―鉱泉水の分析化学調整の医薬/ルネサンスの諸要因―教育をめぐる問題/ヘルメス主義の復活と自然研究/魔術と数学と自然/風雲児パラケルスス/パラケルススの体系/結論}
第二章 ケミカル・フィロソフィー
{パラケルスス派の宇宙/パラケルスス派「数学」/化学と新科学/化学理論と諸元素/化学とゲオコスモス/ミクロコスモスと医学理論/鉱泉水の化学分析/新しい医薬/オスヴァルト・クロリウスの『化学の聖堂』(一六〇九)/結論}
第三章 パラケルスス論争
{総合と反作用―セヴェリヌス(一五七一年)とエラストゥス(一五七二-七四年)の著作と論争/共通基盤を求めて―アルベルトゥス・ヴィンペナエウス(一五六九年)とギュンター・フォン・アンデルナハ(一五七一年)/十六世紀末期フランスのパラケルスス主義/パリ論争(一六〇三年)/イングランドの解決/ロンドン医師協会と『薬局方』(一六一八年)/ダーニエル・ゼンネルトの『一致と不一致』(一六一九年)/結論}
第四章 ロバート・フラッドによる総合
{ロバート・フラッドと薔薇十字問題(一六一七年)/フラッド哲学/イングランドでの最初の反応(一六一八-二三年)/フラッドとケプラー(一六一九-二三年)/フラッドとフランスの機械論者たち(一六二三-三三)/フラッドと武器軟膏論争(一六三一-三八年)/結論}
【第二部】
第五章 断ち切られた旧世界観の連鎖―ファン・ヘルモントによるケミカル・フォロソフィーの再定式化
{ファン・ヘルモント―若き日々/武器軟膏論(一六二一年)/メルセンヌへの手紙(一六三〇-三一年)/ファン・ヘルモントの晩年(一六三一-四四年)/ファン・ヘルモントの自然哲学―数学と運動/元素と原質/自然への鍵としての化学/定量化―科学の新たな道具/真空とマグナル/ゲオコスモスのモデル/鉱物界/エドワード・ジョーデンの化学的ゲオコスモス(一六三一年)/ファン・ヘルモントの医学―医師の神聖な職務/病の理論/結石病/化学的探究―生命精気を求めて/消化の新概念/化学療法/未来への挑戦}
第六章 変容するケミカル・フィロソフィー I―自然・教育・国家
{教育改革―背景/ジョン・ウェブスターと『大学の検証』(一六五四年)/ジョン・ウィルキンズとセス・ウォードの『大学の擁護』(一六五四年)/トマス・ホールの『ウェブスターへの鞭』/化学と国家―農業問題/十七世紀イングランドの農芸化学/化学と経済政策―ヨーハン・ルードルフ・グラウバー/『ドイツの繁栄』(一六五六-六一年)/結論}
第七章 変容するケミカル・フィロソフィー II―新たな化学と医学に向けて
{十七世紀中葉の化学―ルフェーヴルとルメリウス/ゲオコスモスの考察―F・M・ファン・ヘルモント(一六八五年)とジョン・ウェブスター(一六七一年)/J・J・ベッヒャーの『地下の自然学』(一六六九年)/G・E・シュタールと化学の伝統/化学的粒子論―ウォルター・チャールトンとケミカル・フォロソフィー/「ヘルモント主義」ロバート・ボイル/分析という問題/十七世紀中葉の硝空気粒子/ファン・ヘルモント以降の酸=アルカリ理論/化学と十七世紀末期の医学―ノア・ビグズの化学的医学/化学とロンドン医師協会/化学と血液/ウィリスとシルヴィウスの化学的医学/ニュートンによる補遺/結論}
第八章 後記
{ケミカル・フィロソフィーの回顧的展望/受容と拒絶―影響の問題/余波}
訳者あとがき
原註
参考文献一覧
人名・書名索引
著訳者紹介