1991年初版　四六判　P255　カバーイタミ、シミ汚れ　小口ヤケ、時代シミ

メキシコの文学者オクタビオ・パスの批評集。

“柔軟な志向と鋭い直感、勁い倫理などを支えとしながら、現代の人類―とりわけ『孤独の迷宮』以来のパスが避けられぬテーマとする、メキシコを含めた〈新大陸の〉人間が直面する、歴史的・政治的・社会的問題の核心に迫る評論集。旧世界における体制と精神状況の変化、アメリカン・デモクラシーの帝国主義的な性格、ソビエトの官僚支配、メキシコと北方の巨人との対立などを中心的なテーマに、縦横に論じた本書は、この一九九〇年度ノーベル文学賞受賞作家が、八〇年代初頭にすでに、その後に来るべき、二〇世紀末の世界的な激動の時代を見通していたことを告げる。”（カバー袖紹介文）

目次：
序
第一部　くもり空
　〈第一章〉旧世界を瞥見する　｛批判からテロリズムへ／ジャコバン党の遺物と民主主義｝
　〈第二章〉帝国主義的デモクラシー　｛デカダンスの発見／エピクロスかカルヴァンか｝
　〈第三章〉全体主義の帝国　｛ポリュペモスとそのしもべたち／同盟国・衛星国と対立国｝
　〈第四章〉動乱と復活　｛周縁部での争い／排他主義の出現｝
　〈第五章〉変化　｛移植と再生／ラテンアメリカの将来／インクの染み｝
第二部　流れゆく日々
　〈第一章〉メキシコとアメリカ合衆国―位置と対置　｛貧困と文明／北と南／内と外／過去と未来／二重の矛盾｝
　〈第二章〉ラテンアメリカと民主主義　｛反近代の伝統／独立、近代、民主主義／歴史的正統性と全体主義的な無神論／帝国とイデオロギー／民主主義の擁護｝
　〈第三章〉自由についての年代記　｛風の種を播く／嵐の収穫／非現実的社会主義／終わりか始まりか？｝
解説