人喰いの村 A・コルバン 訳:石井洋二郎、石井啓子 藤原書店

1997年初版 四六判 P261 カバー僅凹み 表紙下部少イタミ 帯付

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1997年初版 四六判 P261 カバー僅凹み 表紙下部少イタミ 帯付

“感性の歴史家が抉る 群衆の暴力”(帯文)

“時は1870年8月16日午後2時、舞台は第三共和政前夜のフランスの片田舎。定期市が今やたけなわである。……
 普仏戦争における最初の敗北の報せが届くと、噂の交錯、政治に関する表象の単純さ、昔の秩序と過去の災厄がよみがえるのではないかという脅迫観念、そして君主ナポレオン三世に対する愛情などの諸要因があいまって、農民たちは奇妙で名状しがたく耐えがたい残虐行為にはしることになる。
 突然、群衆によって捕らえられた一人の青年貴族アラン・ド・モネイス。弱々しくて若禿げの、いかにも見栄えのしない32歳になるこの独身男は「共和国万歳!」と叫んだという嫌疑をかけられて、二時間にわたる拷問を受けた挙げ句、村の広場で火あぶりにされた。夜になると、いまだ興奮さめやらぬ群衆は散り散りに広場を後にしていったが、口々に「プロシア人」を「丸焼きにしてやったぞ」と誇らしげに語っていた。時代錯誤的な形で起こったこの惨殺事件は、いわゆる化け物の恐ろしい姿を甦らせた。
 農民の怒りが引き起こした惨殺事件としては、フランス最後のものとなったこの事件とは一体何であったのか? 歴史家の興味をかき立てることのなかったこの「小さな事件」。しかし、歴史家のぞんざいな扱いこそが、逆説的にその重要性を語っているのであり、アラン・コルバンは「人喰いの村」の事件に、〈群衆の暴力と虐殺の論理〉〈集合的感性の変遷〉という主題を立てて精密な解読を施してゆく。それは、歴史家をはじめこの事件の証人たちの目にはただただ異常な出来事としか映らなかった、あの終始一貫した混沌たる要素の系譜を探る作業であり、そこから、われらの「感じやすい魂」がその本質を看破することを妨げている人類学的な変化の実相が、鮮やかに描きだされるのである。”(カバー裏紹介文)

目次:
日本語版への序文
序章

第1章 感情の一貫性
 {藁とくびき/反乱を誘う花/公金泥棒/愛着の論理}
第2章 不安と噂
 {プロシアの会/国民の祝日、君主の祝賀/定期市広場の放縦と自慢話の披瀝/空っぽの舞台}
第3章 虐殺の歓喜
 {いけにえの方程式/苦痛の計算/「プロシア人」を「虐待する」/火刑台あるいは即興の舞台/謎の解読に向って}
第4章 呆然自失する化け物たち
 {恐怖の作用/炭の像/「百姓という下層民」/野外のギロチン}
結論

原注
関連年表
訳者あとがき
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