2002年初版 A5判 P206 表紙上端僅イタミ 帯・スリップ付 正誤表なし
“これが古代中国人のイマジネーション!
天空を鳳凰が舞い 大地を一角獣が駆ける
中国古代の幻想世界を解き明かす斬新な文化論”(帯文)
各種文献や図像、装飾文様などに見られる幻獣を集め、それらに付与されたイメージの変遷や系統を辿る。
目次:
はじめに
第一章 幻想動物のイコノグラフィー
一 記憶のかたち {収奪されたイメージ/物語としての幻想動物/民俗のなかの幻想動物/鬼神かそれとも幻想動物か}
二 動物幻想と古代人の動物観 {古代中国人の動物観/動物分類の変遷/形態による分類のきざし}
第二章 平和と幸運の使者
一 王道のアレゴリー {「うしろめたさ」と憧憬と/仁政のバロメーター/儒学的解釈の波紋/幻獣所有への願望/利用される霊獣のイメージ}
二 幻想の政治学 {日常から非日常へ/霊獣の認定問題/幻想動物と陰陽五行}
第三章 一角獣ファミリー
一 多芸多才な生き物 {人間を裁く動物/一角獣の仲間たち/イメージの変容/目立たない幻獣たち/警備のプロたち/多国語をあやつる動物}
二 それぞれの役目 {けがれを払う/兵を退け、火をよける/非凡な脚力の持ち主/幻獣もペットになって/統合されるイメージ}
第四章 つばさに願いをこめて
一 鳥類を率いる聖なる鳥 {空を飛ぶ五色の霊鳥/ヘビの頸に魚の尾/文字記録と図像/天下太平の徴/多義的なイコン/大同世界のシンボル/図像的変容の理由/鳳凰出現の記録/情愛と孤独のメタファー}
二 天を翔る魅惑 {鳳凰の仲間たち/多彩な一族/青くない青い鳥/太陽に棲む烏/瑞兆としての三本足の烏/異形への憧憬/天馬はいつから空を飛んだか/つばさを持つ獣と魚}
第五章 象徴空間のあるじたち
一 聖性はこうして獲得された {現象循環論と動物の配置/象徴空間と動物シンボル/悪に近いイメージ/春秋時代の儒者に敬遠された龍/詩的想像力の中で/儒学の変化と聖性の獲得/瑞兆としての龍の出現/凶兆と見られる龍}
二 分身、子孫と脇役たち {つばさを持つ龍/水のなかの蛟龍/宮殿の柱に彫られた虯龍/みずちたちの役目/龍の子どもたち/目立たぬ脇役}
おわりに