1992年2刷 四六判 P294 帯ヤケ、破れ、シミ汚れ カバー少スレ、背僅ヤケ、上部少イタミ
“フーリエ、バタイユ、ラカンから瀧口修造、土方巽までを視野に収め、はるかシュルレアリスムの淵源と歴史を広く20世紀思想史の時空に位置づける、著者快心の書下ろし。”(帯文)
“「シュルレアリスムについて、マルクス兄弟やバスター・キートンを語るようにして語れないものだろうか。瀧口修造も実によく笑う人であった。“滑稽なんですよ、実にふるってるんですよ”と言って、瀧口はク、ク、ク、ク、クと笑い続けて止むことがなかった。」
「いよいよ20世紀も終りの数年を目前にして、しかもコミュニスム、マルクス主義の雪崩を打つ退潮という予想もつかない状況の中で、思想も詩もかつてない空無化に曝されようとしている現在、シュルレアリスムという半ば伝説化して、若い世代にはとりわけ遠いものとなった思想、言語運動について、もう一度思い出してみることは意義のあることと信ずる。20世紀のあらゆる問題がここに衝突し、渦巻いているからだ。ネルヴァルとロートレアモン、サドとフーリエ、フロイトと精神分析、遠くかけ離れた二つのものの連結、そしてマルクス主義、二つの大戦とアメリカ……」(著者)
はるかブルターニュにシュルレアリスムの淵源をたどり、その発展と衰亡の軌跡を検証しつつ、この特異な芸術=思想運動を20世紀思想史の只中に位置づける。バタイユ、レヴィ=ストロース、ラカン、瀧口修造、土方巽を視野に収めた、見晴らしのよい刺戟的なシュルレアリスム展望。”(カバー裏紹介文)
目次:
1 ロレーヌとブルターニュ
2 現代のグノーシスとコミュニスムの魔力
3 催眠術 フロイト レヴィ=ストロース
4 シャトー街とブロメ街 あるいは反《アンチ》ブルトンの詩人たち
5 蜃気楼《ファタ・モルガナ》 マルチニック島 ニューヨーク
6 戦後のパリ ラカン アルトー
7 シャルル・フーリエへのオードと土方巽の無意識の探求 そしてマルクス兄弟の笑い
あとがき