昭和56年初版 Ａ５判 P189 帯背ヤケ大 カバー汚れ、上部イタミ
“日本人のデザインの原点
繊細な日本民族の心と風土が生み育てた民芸民具―その形の優しさ美しさ新しさは、時間を超えて私たちに訴えかけてくる。これはまさに「日本人のデザインの原点」ともいうべきもので、これらの「ものとの対話」をとおして祖先たちの秀れた生活感覚を学びとりたい。”（帯文）
国立民族学博物館の所蔵品から生活に密着した民具や民間信仰の拠り代など、日本の伝統的な道具の一部を、それぞれモノクロ写真とともに紹介する。
目次：
はじめに（国立民族学博物館長 梅棹忠夫）
�機／澄垢里垢�た
しし踊り―神の祝福を分ける／牛鬼―悪魔払いの巨大怪獣／やごろどん―身の丈なんと六メートル／なまはげ―幸福を贈る神さま／国東の鬼面―善悪両面の霊威／アンガマの面―“先祖の国”から異人神／八朔馬―精巧でカラフル／絵馬―心うつ喜怒哀楽／婚礼の島台―寿福を祝う儀礼台／イザイホウの扇―神人儀式の踊りに／那智の扇神輿―祭礼のつくりもの／太鼓台―文化遺産なお健在／曳山―文政九年に建造／大元神楽の天蓋―神がかりの装置／しめなわ―作り出される聖域／蛇形―人間と神とを結ぶ綱／仁王襷―神がかりを象徴／横綱―日本意匠の原点／梵天―別名を“嫁叩き棒”／おしらさま―民間信仰の神さま／いざなぎ流御幣―種類の豊富さ全国一／熊手―縁起物の主役／ヤカジ―魔除けの意味も／火の神―沖縄県民の厚い信仰／シーサー―魔除け……権力の象徴／門入道―雑穀の神迎え祝う／田の神―顔に化粧のなごり／しっこさま―男女二体の河童の神／かまど神―根強く残る“火”への信仰
�供‘散颪里海海�
筌―魚の種類で多少の違い／魚伏籠―手づかみ漁法／やす―操作に高度な技術／ガラス箱―漁業の画期的変革／水中めがね―海女の潜水漁法に大きな福音／タコつぼ―“習性”をたくみに利用／浮木―愛用された桐製／イカ釣り具―柄先にＶ字状の細竹／魚形鉤―伝統のサワラ漁法／海苔下駄―天狗さんもびっくり／和紙づくりの「ふね」―伝統的な山村手工芸／手ぞり―斜面をジグザグ滑降／木鉢―山村での商品の一つ／雪かき―山村で工夫・生産／糸車―綿の紡績に威力／田下駄―“稲作文化”知る鍵／草とり―いまでは忘れられた存在／鍬―刃や柄の長さに変化／鎌―自然と人間を結ぶ役割／豆うち―手の感覚を残して／せんばこき―効率的農業に一役／竪杵―世界各地に分布／臼―もとは脱穀・精白用具／篩―今なお生き続ける／唐箕―“人力バインダー”／つるべ・ひしゃく―時代をはね返す弾力性／ねこぐるま―いまも物資運搬に威力発揮
�掘＼験茲里�たち
大和棟―高塀と瓦ぶきの箱棟／秋山の民家―カヤ壁と切れ筵敷き／合掌造り―釘を使わず縄やフジヅルで／曲家―馬をいつも見られる用に／二棟造り―石垣や防風林で囲む／ばったり―谷水を利用して米をつく／弁当箱（1）（めしごうりとわっぱ）―重宝されたヤナギ製／弁当箱（2）（重箱）―江戸中期以後に発達／ヤシの実製徳利―独得のつややかさ／ほら貝―合図などの吹奏具に／厨子甕―“死者の魂”が住む……／いろり―農村生活センターに／行燈―人びとに“安らぎ”を与える／育児用かご―飯詰（保温）とも関連？／こけし―多様性と重層性／金魚ねぶた―夏の夜に幻想的な詩情／盆燈籠―秀逸な演出のセンス／輪―頭上の荷物に敷く／背中あて―わら敷物の技術影響／笠―多様性たっぷり形と用途／みの―神々の長旅を象徴／わらぐつ―雪を踏む母親の姿……／下駄―“日本人の暮らし”を語りかける／狩猟防寒着―雪を防ぐ最適の毛皮／大漁着―網元の威勢を示す／たらい船―軽量、平底……女性でもＯＫ／そりこ―赤貝とりに使う／海女船―夫婦同船、仲よく漁業／山原船―和船にない竜肋
あとがき（国立民族学博物館助教授 守屋毅）
