1991年初版　四六判　P238　カバー背ヤケ、背上下端僅イタミ、袖折れ跡　　P103、159、161ページ上角折れ跡

“これまでの弘法大師空海像は、その宗教面が最も大きく、且つ多く取りあげられてきたと言える。
空海を歴史上の巨人とみれば、多面的にその人物像を探ることができるであろう。そこで本書では、これまで殆ど省みられなかった空海の冶金師・鉱山師・技術者の相を探り、古代日本史の解明に新しい光をあてようと試みた。”（『はじめに』より）

目次：
はじめに
第一章　密教山相（本城清一）
　｛1　出石寺の諸伝承について／2　密教山相ラインについて／.3　鉱業部民について／4　金属と鉱山の歴史について／5　奈良大仏の鋳造記述／6　讃岐と秦氏との関連について／7　「空海の密教山相ライン」中の真言寺院｝
第二章　探異抄（柚木伸一）
　｛1　宣教師と六地蔵／2　シンボルとしてのトーテミズム／3　異界としての神社空間／4　古代技術思想の復権｝
第三章　近畿山岳信仰と丹生（若尾五雄）
　｛1　姑射山／2　高野の丹生都比売／3　狩場明神と犬／4　竃門文書／5　竃と大堝と水銀／6　山神と犬／7　竃門家の変遷／8　高野明神―姑射明神｝
第四章　空海の真言密教の秘密〈ミステリー〉（佐藤任）
　｛1　高野山の鎮守神／2　空海の出生地と系譜／3　「稲荷大明神流記」／4　龍頭太ノ事／5　命婦ノ事／6　白鳥伝説・宇賀神／7　狐／8　付記・丹生大師＝神宮寺と水銀｝
第五章　肱川流域で見た天之日槍―大人の足跡の謎―（堀井順次）
　｛1　「足跡のルーツと行方／2　大人の足跡と天之日槍／3　天之日槍／4　古代宇和国（郡）とヒホコ｝
第六章　邪しき神々の軌跡―九州より四国を結ぶ途―（堀井順次）
　｛1　「邪しき神々」―隼人・隼人族の神々／2　「邪しき神々」の軌跡―拝高神社・大人伝説・駄場の神々｝
第七章　座談会金属史観（若尾五雄、本城清一、柚木伸一、佐藤任）
　第一部　空海の真言密教と冶金　｛密教山相ライン／四国マンダラ／技術集団とシンボル神／古代史研究の新しい方法―金属史観／史書の裏にある事実をつかむ／物質面から伝説の裏付け／モチーフを起こす現実が問題／金の実用価値はなんだったか／金・水銀・錬金術、永遠の生命／水晶・玉と永遠の生命／宗教・思想の基礎にあるもの／原初科学、鉱山技術と宗教／科学と実学／高野山からなぜ高僧がでなかったか／科学と技術・妥当性・資料の共通性／宗教の二面性｝
　第二部　古代日本の金属・冶金文化　｛土蜘蛛とトーテム／ムカデ・蛇・冶金・弁才天／蛇のシンボル・笠置／蟇蛙・吉野の蛙飛び／寺社と鉱山／鉱脈探査員／蛇シンボルと冶金／隠し記号・獅子狛の尾・隼人／トーテム／探知器・鳥・守護神・シンボル／鏡・発火器・火祭り／新羅文化の影響／火の国・雲仙岳・島原半島｝

資料1　空海の密教山相ライン（1）（2）（3）（4）
資料2　愛媛県重金属分布・愛媛県西南部の神社と銅鉱山の分布図
資料3　高野霊山の鉱区除外問題について

あとがき