1988年初版 A5判 P285 帯背ヤケ大、スレ、イタミ カバー背少ヤケ 上部僅イタミ 裏遊び紙ラベル剥がし跡
「文明の深層にひそむ『力〈パワー〉』
女、子ども、植物、庭園、噴水、金魚、猫、犬、奴隷、宦官……なぜ可愛がるのか?」(帯文)
“ヴェルサイユは水の都か?東洋の盆栽術は芸術か自然への挑戦か?プードルが狩猟犬!ピョートル大帝の愚者の宴とは?
愛玩物への優しさと残酷、自然破壊と創造の喜びが人類の文明を築いていく。”(カバー紹介文)
目次:
序
第1章 愛玩物〈ペット〉はなぜ成立するか {人間は、力をふるわずにいられない……/芸術活動にかくされた支配力}
第2章 生命を消費する悦楽―宮殿 {子供は破壊の快楽を知っている/生命を犠牲にしてそびえる洛陽の都/人間を消費するのが再考の贅沢/権力者は「機械」を好む
第3章 人間の力と気まぐれが作る自然―庭園 {人間の手が作るもうひとつの自然/理想世界のランドスケープ/建築術と造園術の共同戦術/庭園は空想の舞台空間でもあった/驚きと気まぐれを楽しむ唯美主義者たち}
第4章 反自然の世界に遊ぶ―噴水 {噴き上げる水と遊ぶ/水の美とドラマを演出するヴィラ・デステ/ヴェルサイユはいかにして「水の都」になったか/自分と富を象徴する異国の植物たち/樹木を刈り込み造形の妙を楽しむ/植物を自在にあやつる東洋の盆栽術/鉱物でできた樹木に永遠性をたくして}
第5章 野生動物から愛玩動物へ―動物園 {自然の荒々しい力を野生動物にイメージする/フビライハンに侍る猛獣/人間も見世物だった!/動物園で優越感を味わう現代人/エデンの園に欠かせない植物と動物}
第6章 愛か残酷か―金魚と犬 {ペットの去勢はなぜ平然とされるのか/愛情の背後に「食肉心理」が……/工芸品のように作られた金魚/家畜の作り方/狩猟犬だったテリア、プードル、スパニエル/ペキニーズはどうして可愛くできあがったか/「血統書」の残酷な舞台裏/優しさと冷酷の洗礼を受けてきた犬/人間の愛情の限界}
第7章 母性に棲みついた矛盾―子どもと女 {宮廷のセックス・ペット、ルイ一三世/「母と息子」に投影される男と女/屈辱が最高の栄誉だったハーレムの女たち/騎士は貴婦人のアクセサリー/男の天使であり奴隷だった子ども妻}
第8章 恐るべき人間ペット―奴隷と小人、阿呆 {差別を正当化する神話はかならず作られる/有用な備品・便利な道具の奴隷/最新ファッションは、黒人と小犬を連れて/無自覚の優越―いじめ、からかい、甘やかし/俗世の全能者に忠誠をつくす宦官/遊び心はヒューマン・ペットすら作る/ピョートル大帝が楽しむ愚者の宴}
第9章 愛と力による創造へ {不平等だから成立する優しい関係/優越者が望みと意志を実現できる小宇宙/支配と愛情のパラドックス/受身と服従によって味わう甘美/創造を意図する愛の力を}
訳者あとがき(片岡しのぶ、金利光}
参考文献
著者略歴、訳者略歴