1982年2刷 四六変型判(ページ部分11.8×18.8) 函および帯背ヤケ、少イタミ 帯少破れ 本体元パラ少イタミ
各地の港町をめぐる随想集
“地中海の港町で過ごしたおだやかな夏の日々。沖縄の石垣島、宮古島、池間島……その明るい陽光のなかに、自意識と時間の重圧から解き放たれ、魂の皮膚の破れる稀有の瞬間が訪れる。鋭いしなやかな感性でつづられた新たなる《地の糧》!”(帯文)
“わたしはこの「港町論」で、可能なかぎり実際に自分の眼で見たことのみを、記録する方法をとった。港町というものは、どうやら何か特別の思い入れをしたくなる対象であって、多くの港町の歌謡曲がそれを利用することで作られ続けているが、わたしはそうした感傷にだけはひきこまれまいとつとめた。
と言って外界をのみ見ようと覚悟しての旅も、結局は内面の旅である。どこまで行っても人は自分というものを曳きずっているのである。そしてその執拗な自意識をも無化しようと働きかけてくるもの、それこそがシュルレアリスムで言う「驚異」、メルヴェイユなのではあるまいか。”(あとがきより)
目次:
第一章
ニース アンチーブ カンヌ コルシカ ポル=タン=ベッサン 宮古島 「行き果ての島」 池間島 糸満島 高知港 平良港 ハブの港 サン・レモ ダンケルク ドーヴァー 土崎港 カレー ブーローニュ 石垣島 シェルブール バルセロナ 平戸 生月島 崎津港 福江港 那覇 泊港 バレンシアの港町 アヤモンテ 美崎町 八重山群島 西表島 竹富島 鳩間島 黒島 狩俣
第二章
牛窓 宇野港 豊島 笠岡港 北木島 鞆ノ津 下津井 三蟠港 前島 酒田 下関 敦賀 小浜 池間島 「宝味島」 宮古 平良 泊港 石垣島
第三章
函館 糸満 釧路 八戸 石港 室蘭 那覇 石垣島 宮古島 淡路島 洲本 松島湾 伊達市 森港 牛窓 三蟠港 本八戸 小中野 陸奥湊 白銀 鮫 長崎 天草 崎津 蕪島 経島
あとがき