平成10年初版 四六判 P274 帯付 カバーおよび帯背少ヤケ
「能・狂言のルーツは東アジアにあった。」(帯文)
「日本の祭りや芸能の源流を、時代を遡ってたどっても途中でとぎれてしまう。しかし視界を東アジアに広げると、あちこちに原形となった民族芸能が残っている。従来の芸能の日本民族起源論を否定する斬新な日本文化論。」(カバー裏紹介文)
目次:
はじめに
第一章 折口信夫の功罪
{1 信仰起源説/2 折口信夫の芸能・文学発生説/3 まれびと論の破綻}
第二章 日本の祭りの類型
{1 日本の祭り―善神型―/2 種子の原理・供儀の原理/3 日本の祭り―善悪両神型―/4 民間神楽/5 穀霊と儺}
第三章 呪術と宗教
{1 統御と懇願/2 儺と神霊型呪術―呪術と宗教の融合―
第四章 芸能と文学の発生
{1 芸能と文学の母/2 大儺式―祝詞と仮面芸能の誕生―/3 中国の儺儀/4 中国の来訪神儀礼/5 南島の古歌謡/6 上代歌謡}
第五章 俳優の誕生
{1俳優の誕生/2 中国江蘇省の男巫儀礼/3 公権力と俳優}
第六章 大陸芸能の渡来―散楽―
{1 日本の散楽/2 中国の散楽/3 『東京夢華録』の散楽/4 日中散楽の比較}
第七章 人形芸能の展開
{1 人形の始り―縄文土偶―/2 古墳時代の人物埴輪/3 信仰人形の系譜/4 人形芸の始り/5 渡来した傀儡子集団/6 傀儡子たちの故郷/7 傀儡子たちの芸能/8 人形芸の全盛時代}
第八章 仮面の本質
{1 仮面のはたらき/2 仮面の力/3 日本の南島の仮面儀礼/4 南島仮面の分類/5 神観念に対応する南島仮面/6 南島仮面は精霊信仰の産物/7 自然信仰と仮面/8 日本における仮面の分布/9 朝鮮半島における仮面の分布/10 中国における仮面の分布/11 世界における仮面の分布/12 なぜ仮面をつくる民族とつくらぬ民族があるのか}
第九章 中世仮面劇・能と狂言
{1 能の誕生をめぐる従来説/2 能の本質と追儺/3 悪鬼追放から亡霊追善へ/4 大陸仮面劇の形成/5 宗教革新の時代/6 大陸仮面の渡来/7 中国の亡霊追善劇―目連戯/8 渡来した目連伝説と地蔵信仰/9 翁猿楽の由来/10 能と狂言の組合せ}
第十章 中世の民間神楽
{1 五行神楽の源流/2 日中五方五色観念の交流/3 三信遠花祭りの五方五色観念/4 大神楽の「浄土入り」/5 目連戯の地獄めぐりと「浄土入り」/6 花祭りの基本構造/7 韓国江口洞の別神クッ/8 日韓祭祀の類似性/9 中国農村の道教儀礼/10 日韓中祭祀構造の一致/11 日韓中祭祀の神々と花のモチーフ}
おわりに