2000年初版 四六判 P268 帯スレ カバー少汚れ、少キズ、上部少イタミ
「職人や日雇い。労働する人々の実態をみる。
鋳物師、中間、相撲年寄、……」(帯文)
「近世の富の生産をささえる職人。それから切り離された、さまざまな職業に従う日雇いの人々。マネジメントにあたる親方。そこに形成される仲間の特質はなにか。働く人々の実態を活写しながら、近世の身分制を考える。」(カバー裏紹介文)
目次:
職人・親方・仲間 (塚田孝)
1 本巻の視角 {本巻の周縁性/「日用」層/近代の労働力/分析の視点}/2 本巻の構成 {鋳物師/杣工/金掘り/浦請負人/中間/相撲年寄/非人}
鋳物師―辻村鋳物師と真継家― (横田冬彦)
はじめに {朝廷・公家と職人/近世鋳物師の研究}/1 辻村鋳物師 {辻村の初見/近世の鐘鋳造の一般的動向/出店開設の発端/全国的展開/出店経営の特質/本家と出店/奉公人/店間のネットワーク}/2 真継家との関係 {真継家の鋳物師改/幕府公認の有無/東南寺鐘銘一件の発端/両者の主張/対決から和談へ/幕府による否定/天明六年大津金屋一件}/おわりに―辻村鋳物師の到達点―
杣工 (脇野博)
はじめに {近世林業と杣/杣と大鋸}/1 上方の杣 {上方六ヵ国の大鋸・杣頭/大工頭中井正清/国役大鋸による伐採/作事編成と杣/杣高と職人身分/杣職分の空洞化}/2 木曽の杣 {木曽式伐木運材法/杣・日用の伐採技術/木曽杣の誕生/杣頭と杣/木曽の杣組}/3 津軽の杣 {津軽の伐木・造材/津軽の運材/杣子と人夫/杣子と「杣子組」}/おわりに {近世社会と杣}
金掘り (荻慎一郎)
はじめに/1 採鉱の労働組織と労働条件 {近世の鉱山/堀分山/雇用形態/労働組織/給与/休日/金掘りの寿命}/2 寛延四年の大葛金山の金掘り喧嘩 {事件の発端/事件の経過/騒動の意味}/3 金掘りの社会集団と山法 {金掘りの仲間意識/山法/「抜合」騒動/騒動の意味/金掘り千代吉/金掘り仲間の結束}/4 尾去沢銅山における金工庄八引き渡し一件 {藩と金掘り集団/鉱山側の主張/庄八一件の結末/市五郎の小火事件/金掘りの流動性}/おわりに
浦請負人―漁業経営と水主の確保― (後藤雅知)
はじめに/1 浦請負人とは {浦請と浦請負人}/2 仁右衛門家の漁業経営 {諸漁業の漁期/八手網漁/鰶網漁/鰹釣漁/縄船漁/鮑漁/漁獲物の輸送/小括}/3 近世後期外房地域の漁業社会と網仲間 {網仲間の議定/廻り縄船の入漁/八手網水主の払底/鰶網水主の雇用}/おわりに
中間 (森下徹)
はじめに/1 手子の役割 {勘場の構成員/地価手子への年限規制/代官の反対/「役人」からみた手子}/2 手子の任命 {地下手子を勤める階層/手子の地位の独占}/3 手子の利害 {手子の不正/「足軽以下」の屋敷居住への規制/屋敷の買得を進める中間/「分過」な屋敷への居住}/4 中間の地位 {中間の「役」/「役」を勤めない中間/中間数の推移}/おわりに
相撲年寄―興行と身分― (高埜利彦)
はじめに/1 江戸相撲の興行実態 {幕末の相撲/稽古相撲/近郊の稽古相撲/地方巡業/地方巡業の範囲/江戸相撲取の出身地/相撲興行の収入}/2 幕府の政策とねらい {駿州御厨地方の相撲/幕府の全国触/将軍上覧相撲/幕府のねらい}/3 相撲渡世集団と身分 {相撲取の身分/相撲取りの周辺/桟敷世話渡世人/地方の門弟}/おわりに
非人―近世大阪の非人とその由緒― (塚田孝)
はじめに {三つの位相/守貞謾稿}/1 予備的考察―四ヵ所の垣外とその成立― {四ヵ所の垣外/垣外の成立/転びキリシタンの出生地から}/2 天王寺垣外の由緒の形成―寛文十年の施行院の建立― {寛文十年の願書/由緒の論理構成/非人集団の展開と由緒/小括}/3 寛政八年の出願と由緒の拡張 {「恐れながら口上」の提出事情/「恐れながら口上」の内容と特徴/「口上覚」の内容と特徴/小括}/4 四天王寺の支配 {非人処罰事例/非人支配の深まり}/おわりに―まとめと展望―