昭和15年 菊判 P556+索引P21 全体に経年による少イタミ、少汚れ 本体僅反り 背およびチリ部少虫喰 小口および見返し時代シミ 裏遊び紙少剥がし跡
旧字旧かな遣い
“…原著者は技術の問題を廣く經濟、科學、哲學等廣汎な文化領域との關聯に於て把握し、社會發展の原動力としての技術の任務及び技術的價値の限界を明らかにしてゐる。又従来の技術文化の説明が環境の規定に力點を置く地理的決定論に陥つてゐた結果、發明家個人の業績を沒却してゐた缺點を指摘し、一方發明に於ける個人的英雄崇拝の弊を説き、發明の説明原理を學習過程中に現れる革新、發明完成過程の特質、即ち新しい環境の下に於て新たに欲望を満足する爲の新行動形態の獲得といふに求め、之をケーラー(W. KÖHLER)一派の形態心理學的動物實驗に照して實證し、かくして樹立された發明過程の持つ性格を原理として、古代から現代に到る迄の主要諸機械の發明過程を詳細にいてゐる。即ち古代の織機、搗臼から現代の各種タービン、内燃機關に到る主要諸機械が如何なる事情の下に、如何なる必要から、如何なる原理を基礎として發達して来たかを、社會的經濟的背景、科學的理論、哲學的思辨の相互關聯に於て、全體的、體系的、論理的、必然的に説明してゐる。
…〈略〉…
原著者は資料の取扱ひ方に於ても著しい特徴を示してゐる。即ち主要な發明に就いては初めにまづ文獻的研究を行ひ、ついで文獻に現れた記載を基として過去の機械を再構成し、之についてその性能を調べ、その結果を参考して文獻の解釋に新しい光を與へ、適正な批判評價を下してゐる。…”(本書巻頭「譯序」より)
目次:
第一章 経済史上に於ける技術工学の位置
一 地理的要因と技術工学的要因の特質
二 社会進歩の主要要因たる技術的革新の過程
第二章 機械発明の過程
一 学習過程の一様相としての革新
二 発見と発明の相違
三 発明過程の性質
四 発明完成の過程、古代に於ては経験本位、近代に於ては構成的想像力優位を占む
五 完成過程の経過
六 発明に於ける前意識精神の機能
第三章 純粋力学と応用力学の古代史
一 ギリシャ思想に於ける科学と哲学との関係
二 アリストテレス派とアルキメディス派
三 応用力関係の諸論文
四 所謂古代に於ける発明蔑視に就いて
五 中世に於ける力学の進歩
六 近代的実験科学の興起
第四章 キリスト紀元以前に於ける機械装置
一 機械の根本特徴と機械発達の一般的特質
二 所謂五つの「単一」機械とその応用
三 大型弩と各種の大気学応用装置
四 精密器械
五 前記論文中に記載なき装置
六 家畜力利用の能率悪しきこと
第五章 水車と風車の発達 西紀前一五〇年 ― 西紀一五〇〇年
一 横型水車と竪型水車
二 風車の発達
三 歯車装置附製粉機用家畜力利用
四 ヨーロッパに於ける水車の普及
五 動力利用普及化の端緒
第六章 水時計と機械時計 西紀前一六年 ― 西紀一五〇〇年
一 中世に於ける水時計の歴史
二 水時計の機構
三 機械時計に関する初期の歴史
四 一三四四年より一三七〇年に到る時計製作
五 ド・ヴィックの時計
六 近代的時間測定法の端緒
第七章 技術家兼発明家レオナルド・ダ・ヴィンチ
一 レオナルドの生涯に於ける芸術的活動と科学的活動の位置
二 レオナルドの機械に関する研究の当時の実地応用に対する関係
三 純粋科学並びに応用科に関するレオナルドの貢献の特質とその範囲
第八章 印刷術の発明
一 準備的発明と発見
二 初期の発明に関する文献上の証拠
三 活字造達に関する現代の再成
第九章 織物工業用機械 西紀三〇〇年 ― 一八〇〇年
一 東洋の絹製織技術の西洋に及ぼせる影響
二 糸捲車と縮絨機
三 レオナルドの織物に関する発明とそれが当時の実際に及ぼせる影響
四 編物機とリボン織機
五 広幅織機の発達精紡工程に於ける動力利用
第十章 自鳴鐘及び携帯時計の発達とその精密機械化 一五〇〇年 ― 一八〇〇年
一 ばね動力のクロック・ウォッチ
二 自鳴鐘に於ける振子の利用
三 ひげゼンマイと経線儀(クロノメーター)
第十一章 動力の発生と利用 一五〇〇年 ― 一八三〇年
一 十六世紀の原動機
二 ポンプ及びポンプ作業に関する問題
三 大気歴機関の発達
四 往復動蒸汽機関
第十二章 工作機械と大量生産 一四五〇年 ― 一八五〇年
一 工作機械の近代的技術工学に対する重要性
二 一七五〇年以前の旋盤の発達
三 近代的機械製作の基礎
四 大量生産の発端
第十三章 一八三二年以降に於ける動力の発生と配給
一 タービン水車
二 蒸汽タービン
三 電灯と中央発電所
四 内燃機関
文献目録
索引