
2003年 四六判 P316+参考文献一覧P6 帯付 カバー少ヤケ、僅スレ、僅汚れ、端僅イタミ 天地小口少汚れ
“遊動するデジタルの記録。
「記憶」の未来が、いま拓かれる。”(帯文)
“本書は現代の情報メディア環境において、未来に向けて膨大に記録、集積される情報、知識、そして時に叡智と呼ばれる無数の声、文字、映像が辿り着く記憶庫であるデジタル・アーカイヴの機能や成り立ちを眺めながら、それが社会や文化といったものにどのような影響を与えるのかを、各国、あるいは一都市の取り組みなど、できるだけ広範に対象をとって考察した試みである。…”(本書「あとがき」より)
目次:
まえがき ―森と砂
第1章 記憶の外在 ―デジタル・アーカイヴとは何か
{ビル・ゲイツのダ・ヴィンチ/デジタル・アーカイヴの原風景/三つのアーカイヴ/記録の世紀/記憶から記録へ ―文化記憶と神話/眠りつづける記憶の海}
第2章 記録というスペクタル
{複製技術の風景/崩壊する神の眼/記録される世界/デジタル・アーカイヴの在所/文化記憶の地図/アーカイヴ・コンテント/欧米の挑戦/サイバー地理学(デジタル・アース ―地球表面のアーカイヴ)/モデリング・サイバースペース/インターネット、地球を纏うアーカイヴ/記憶とその反作用/記録か記憶か}
第3章 占有と共有 ―ムンダネウムをめぐって
{アウラは何処に/ポール・オトレの試み/よみがえるムセイオン/オトレの先進性と時代性/オトレとバタイユ/知の共有と連携/情報科学から見た図書カード}
第4章 文化記憶の社会資本
{記憶の産業/文化という市場/ハイパー資本主義の文化/文化の消費者は誰か/社会資本としてのデジタル・アーカイヴ/基盤と内容}
第5章 電網の中の文化経済
{同一文化と多元文化主義との相克/デジタル・アーカイヴの役割/日本の文化資源価値と再活性化/西欧による日本文化の理解/「グローバル・ニッチ・マーケット」と日本文化/日本文化のブランディング}
第6章 離散するアーカイヴ ―京都ブランドと文化経済
{「記憶」への意思/商標とブランド/伝統の創造的変換/ブランディング戦略/ブランド国家論/コモン・アクセス/シベリウス・メソッド/ブランド経済/ブランド・リージョン/関係性マーケティング/離散文化都市、圈外経済へ}
第7章 米国の文化情報基盤 ―情報スーパーハイウェイにおける人文科学と芸術
{国家情報基盤構造における文化情報の意義/民主的な情報ネットワークの構築/アメリカで組織されている文化情報の供給源/文化情報のネットワーク化を推進するための課題/情報のネットワーク化における技術的な必要条件/ネットワークへ参加する市民の裾野を広げる/未来の文化情報経済圏の生成に向けて}
第8章 インターネット・アーカイヴの挑戦 ―デジタル情報の記録と記憶
{増殖するデジタル情報/情報の計量化/メディアによる情報生産量/デジタル情報をどのようにして記録保存するか?/表層と深層のウェブ/記憶の支持体/インターネットのウェブをアーカイヴする試み/著作権の孤児 ―インターネット動画アーカイヴ/デジタル公共財という社会資本}
第9章 記憶のゆくたて
{飽和する記憶/日本におけるアーカイヴの黎明/三種の神器/ことだまの系譜 ―反『記紀』の記憶/『万葉集』/地上は月の光に照らされて ―伝統のはじまり}
第10章 記憶の編纂と反転
{アーカイヴの展開=中世・近世/琉球王国とアイヌのアーカイヴ/武家のイデオロギー ―江戸前期の編纂事業/諸学の登場 ―江戸中後期/国学の発生と国書の集成/近代の幕開け、あるいは忘却の波涛 ― デプログラミング/文明開化/忘却の果てに/物財のアーカイヴ、博物館の萌芽/帝国博物館}
終章 結紮のデザイン
{浮世絵に見る文化伝達 ―豊原国周が残したもの/国周が提示した日本文化のメチエ/『ヒカルの碁』 ―解体され再構築された能の物語/タマハリタルモノヲツナグコト ―継承/記憶の砦}
あとがき
註
参考文献一覧